マクドナルド元CEO「時給15ドルになればロボットと代替される」

ロボティア編集部2016年5月28日(土曜日)

 ここ数年、世界中、特に米国でマクドナルドに対するデモが活発に行われている。時給を15ドルに引き上げることを要求する労働者たちのデモだ。先日もマクドナルドの株主総会が開かれた米・シカゴ本社前に、多くの人々が詰めかけた。

 そんな世論の高まりに向け、ひとりの重要人物が“警告”を発した。マクドナルドUSAの元CEOエド・レンシ(Ed Rensi)氏だ。過去に最高経営者を14年間務め、現在はマクドナルドレストランシステムズ(McDonald's Restaurant Systems)の諮問を務めている人物である。

 そのレンシ氏が、フォックス・ビジネスチャンネルの朝の番組に登場。「最低時給が15ドルに達すれば、“ロボットの反乱(robot rebellion)”を触発する」と指摘した。

一体どういうことか。

 現在、連邦政府が定める最低賃金は7.25ドル。これが、2倍以上の15ドルまで上昇すれば、ファーストフード店の経営者としては、より安価なロボットの導入を検討せざるをえないというのがレンシ氏の指摘だ。

 ファーストフード店ではスタッフに特別に高い技術を要求しておらず、(経営者が判断する)“合理的”な賃金でスタッフを雇用できないのであれば、経営を安定させる選択肢として機械やロボットを導入せざるをえなくなるというのだ。職の安定を求めていた人々は結果的に、その高くなった賃金のせいで、ロボットに仕事を奪われかねない。そのような状況を、レンシ氏は“ロボットの反乱”と名付けているようだ。

「フライドポテトを包むスタッフを15ドルで雇うよりも、約3万5000ドルのロボットアームを購入した方がコストは安くなる」

 なおレンシ氏は、ロボットが人間の仕事を代替するのは、ファーストフード業界に限った話ではないと指摘。米国内で最も活発なビジネス形態であるフランチャイズ全体に影響を及ぼすと主張する。

エド・レンシ_マクドナルド元CEO
ニュース番組で発言するエド・レンシ氏 photo foxbusiness

 レンシ氏はまた、業界がロボット導入を進め始めれば、その流れは徐々に速くなるしかないとしながら、そうなる前に国全体で最低賃金を統一する必要があると提起する。例えば、学生には学生賃金制度、ベテランの労働者には賃金の引き上げなどを含んだ多角的な賃金制度を作るべきというものだ。

 米国労働統計局によると、2014年の段階で、最低賃金である時給7.25ドルで働いている労働者の数は130万人という調査結果が出ている。また、最低賃金以下で働いている人も170万人に達する。それら合計300万人は、賃金労働者全体のうち3.9%を占める。

ピザハット_ペッパー
photo by pizza hut

 マクドナルドが時給論争の渦中にあるなか、全世界に加盟店を持つピザハットは今年末、アジアの売り場を皮切りに、ロボット=ペッパーを導入する方針を決めた。ペッパーが担当する作業は、注文を受ける接客業務だ。その他の企業でも、料理を作るロボットや、顧客に配膳するロボットなどを開発・テスト中だといわれている。

 一方で、ロボットには気の利いた作業はできず、人と人とのコミュニケーションが大事な要素となる接客業への本格的な導入は難しいとの意見もある。中国では世界に先駆けて導入されたロボットウェイターが、先日クビになったばかりだ。