愛を“可視化”し”富”が増える…ブロックチェーン時代の結婚・恋愛のカタチ

愛を“可視化”し”富”が増える…ブロックチェーン時代の結婚・恋愛のカタチ

関連ワード:仮想通貨 恋愛

Written by 河鐘基

Posted date:2018.09.21

既存の国家の婚姻制度には、「ふたりの関係を公式に承認する」という機能以外にも、役割がある。それは、経済的補償や富の再分配(=インセンティブの発行)を行うというものだ。出産手当、児童手当、年金、保険料、遺産の相続などなど、国に婚姻関係を承認されればさまざまなインセンティブ、もしくはそれらを享受するための資格を法的に受け取ることができる。むしろ、結婚の承認というプロセス自体が、それら国家の経済的な再分配を誰に行うべきかという「マーキング」であると考える方がより適当かもしれない。

国家にとって国民は労働力であり生産力だ。基本的には、新しい労働力、すなわちより多くの子供を産み育てることができる“であろう関係性”を持ったカップルに、より多くのインセンティブを与えるように設計されている。日本で言えば、「正社員である男性」と「専業主婦もしくはパートで働く女性」という組み合わせである。とはいえ、そのような日本の婚姻制度は破たんの兆候も見せつつあるが…。

「結婚は減少傾向にありますが、もっとも大きな理由は経済的メリットが失われつつあるから。言い換えれば、現実と制度が乖離し始めているからです。現在の結婚制度ができた戦後しばらくは、男性の9割以上が正社員のサラリーマンでした。そのため、正社員である男性と専業主婦という組み合わせの夫婦が、もっと得するような仕組みが維持されてきました。しかし現在では、非正規や自営業、フリーターの男性が増えている。長期間にわたって働ける場所が少ない女性は、安定を確保するために、少なくなった正社員男性の中からパートナーを探すことになるわけですが、条件に適した対象を見つけるのが難しくなってきています。愛があれば結婚すればよいじゃないかとなりますが、実際、現在の制度では非正規やフリーターの方々と結婚すると、女性は経済的に著しく不利になります。私自身は、愛する人と結婚することで得ることは多いと考える立場ですが、現実的に結婚に消極的になってしまうような制度的状況があるのは否めないんです。その帰結として、前段階の恋愛も減る。男性にとって結婚しない恋愛はお金のムダ。女性にとっては時間のムダですからね」

話を戻そう。ブロックチェーンは、ネットワークに改ざんできない愛の記録を書き込むことで、「愛の可視化」や「結婚の承認」を可能にする。一方で、国家の婚姻制度のように、何かしらのインセンティブをカップルたちに用意することができるのだろう。前出の藤井氏は言う。

「ブロックチェーンのネットワークの中で結婚したカップルに、既婚者ならではの様々なインセンティブを設けていくことは可能だと思います。むしろ、むしろ、それを可能とするのがトークンエコノミーです。そういったインセンティブが自発的に生まれてくる土台の設計と、その上で生まれる新しい経済の流れがトークンエコノミーであり、これを創出できるのが、ブロックチェーンの持つ本質的な力でしょう」

例えば、LGBTカップルなど、国に承認されない事情を持ったカップルがいたとしよう。最近では、ロボットと結婚したいという女性がフランスで現れて物議を醸したが、彼女たちのような先鋭的な人々を含めてもよい。ブロックチェーンプラットフォームではまず、彼/彼女たちの結婚を承認・記録する。次いで、プラットフォーム上でトークンを流通させる。この場合のトークンとは、仮想通貨でも、株式のようなものでも、割引チケットでも、どのような形でもよい。プラットフォームに参加した人たち、もしくはカップルを応援したい個人、マーケティング対象としたい企業はそのトークンを購入してネットワーク、もしくはオフラインで循環させる。すると、そこには一定の価値が生まれることになる。

最終的に、そのトークンの贈与を受けたカップルが、レストランや結婚式場、ハネムーン旅行、保険加入などさまざまなシーンで割引サービスなどを受けられるようになれればどうだろうか。その金額や、トークンを使うことで得られる価値が、人生トータルで国に結婚を認められることで得られるインセンティブの額を超えるまでに大きくなるならば、もはや国の結婚制度は権威的にも経済的にも必要ないということになる。壮大かつSFのような話にも聞こえるが、決して不可能な話ではない。むしろ、結婚とブロックチェーンというテーマを取り扱う人々は、すべからくこのインセンティブ設計の重要性に注目している。

1 2 3 4