米国で違法な遠征出産の仲介に厳罰化の機運...出生地主義廃止の動きも

ロボティア編集部
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Photo by roya ann miller on Unsplash

ドナルド・トランプ米大統領が、「遠征出産の廃止を深刻に検討している」との見通しを発表するなか、中国の公務員や富裕層の遠征出産を幇助した中国人ブローカーが、最大15年の実刑を受ける可能性がでてきたとの現地報道があった。米連邦検察の捜査を受けてきた中国の国籍の李冬媛氏は、米国への遠征出産を希望する中国人から金銭を授受。不法に米入国ビザを取得する方法などを“レクチャー”していた容疑を、自ら認めたと伝えられている。

李氏は2013年から2015年まで、遠征出産を仲介するオンラインサイトを運営。中国の富裕層をターゲットに約300万ドル(約3億2000万円)を稼いでいたことが明らかになった。 およそ500人の顧客のなかには公務員もいて、彼らは子供の米国市民権を取得するために4万〜8万ドル(約4800万〜9600万ウォン)を支払っていたという。

米国の移民政策は、「出生地主義」(Birth citizenship)の立場を取っているため、国境内で生まれた子供は親が外国人であっても米国市民権を取得できる。遠征出産自体も違法ではない。しかし、李氏の顧客たちは申請の際に虚偽の記載をするなどして、不法にビザを取得したことが問題となっている。

李氏は、妊婦に妊娠の事実を隠して米国入国審査をパスする方法を教え、入国後には自身が手配したカリフォルニア州アーバイン市にあるアパート20世帯で出産するまで住むようにした。なおカリフォルニア州は遠征出産観光(Birth tourism)で有名な土地である。

李氏は有罪を認め、刑の減軽を求めて所有する50万ドルを超えの自宅、およびメルセデスベンツ複数台など合計85万ドルに達する財産の没収を連邦検察と合意した。それでも、12月の裁判では最高15年の懲役刑を受ける可能性もあると現地メディアは伝えている。

8月21日には、トランプ大統領が遠征出産を問題視。“生まれながらの市民権”を廃止したいという意思を表明したが、米国に次ぐ「移民の国」であるカナダ、特に中国人移民が多いブリティッシュコロンビア州を中心とした地域では、出生地主義を廃止しようという動きが顕著になり始めている。

カナダではいわゆる「ミリオンダラーベイビー事件」が出生地主義廃止の引き金になった。これは、2012年に中国国籍の女性が遠征出産を目的としてブリティッシュコロンビア州の病院で子供を産んだ後、医療費も出さないまま姿をくらました事件だ。当時、病院は女性に31万2595カナダドルを請求したが、未払いのまま利息がかさみ2017年9月には100万カナダドルを突破。ミリオンダラーベイビー事件という呼称で呼ばれるようになった。その後、世論の悪化を受け、ブリティッシュコロンビア州政府は中国系移民の移民制度を見直し始めている。