人口流出が止まらないブルガリア...「祖国帰還者」にフォーカスの動き

ロボティア編集部
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Photo by Yoal Desurmont on Unsplash

ブルガリアでは海外移民が急激に増加。国内の人口が減少し社会的な問題となっている。
1980年代末、ブルガリアの人口は約900万人だったが、2018年は700万人に及ばなかった。国連人口報告書によると、2050年にブルガリアは人口の23%を失うと推定されている。

人口減少の理由は、出生率の低さに加え急激に増加している海外移民にあるとされている。ブルガリア政府は移民関連の統計を公開していないが、一部では毎年少なくとも6万人が祖国を離れていると推定されている。2017年の一年間で、ドイツに移民した人数だけで3万人を超えるとの推定値もある。

ブルガリアの有名大学・ソフィア大学の経済学科教授を務めるCvetan Davidkov氏は、医師から建設労働者に至るまで、ほとんどのブルガリア人は海外により良いチャンスがあると信じているとし、人材流出はすべての経済分野に影響を与えていると指摘している。ブルガリアの月間最低賃金は320ドルで、EU加盟国の中で最低水準だ。2018年と2019年(推定値)のGDP成長率は3.3%、3.1%だ。

人口減少の理由のひとつは、他のEU加盟国で自由に仕事をしたり、居住や旅行が可能な点だ。 2006年にEU最大の経済大国・ドイツを訪れたブルガリア人の数は8000人だったが、翌年にブルガリアがEUに加盟した後には2万人まで増えた。

人口流出問題を解決するため、ブルガリア社会は「帰還者」(Returnee)にフォーカスを当てている。例えば、国内民放放送「ブルガリア・オンエア」は、海外から祖国に帰ってきたブルガリア人のサクセス・ストーリーを取り上げる「ザ・リターニーズ」(The Returnees)というTV番組を放映している。同プログラムは今まで、医師、技術者、ビジネスマン、芸術家、IT専門家など70人余りの帰還者たちの姿を報じた。

ザ・リターニーズの司会者であるPetya Kertikova氏は、海外に住むブルガリア人は祖国の肯定的な変化を直接目の当たりにした時に受け入れることができるとし、多くのブルガリア人がホームシックのために戻ってくるが、一方で国の発展に寄与したいという動機を持った帰還者も多いと話している。

なお、Kertikova氏自身は、2年前に米国・シカゴにある小規模のブルガリア放送局でTV司会者として働いていた。ある日、結婚式に出席するため故郷を訪問した際、変化した祖国を見て米国に帰る航空券をキャンセルしたという。今後、番組を通じて祖国に帰ってくることを躊躇しているブルガリア人の迷いを取り除くというのが、彼女のモチベーションになっているという。