AI企業・ABEJAが新型コロナウィルスによる小売店への客足影響を調査

ロボティア編集部
ロボティア編集部

人工知能(ディープラーニング)を使ったインストアアナリティクスソリューションを提供するABEJAが、新型コロナウィルスによる小売店への客足動向を調査。結果を発表した。以下、公開された調査結果。

今回の調査は、弊社の小売店舗解析サービス「ABEJA Insight for Retail」を導入している店舗のうち、任意で抽出したアパレル・雑貨の企業計43社の468店舗を対象に実施。新型コロナウイルスの国内初の感染者が確認された1月第3週(13ー19日)から3月第3週(16-22日)までの期間の傾向を分析したところ、3月第1週にいったん前年比60.6%まで減った「アパレル・雑貨」の店舗への来店者数の減少ぶりが、その後和らいでいることが分かりました。また、エリア別では東日本の店舗の方が、西日本より来店客の落ち込みが大きい傾向が分かりました。店舗形態別では「路面店」が、他の形態より落ち込みが目立っています。

【調査方法】
店舗内に設置されたカメラやセンサーから来店者の情報を把握、新型コロナウイルスの国内初の感染者が確認された1月第3週(13日ー19日)から3月第2週(16-22日)の「来店者数」「店前通行者数」(※)「店舗売上額」(※)の推移を検証。具体的には3つの指標の1週間(月曜~日曜)の平均値を算出、前年同時期と比べました。また、エリア別、店舗形態別でも同様に比べました。

【指標の定義】
来店者数=お店に入ってきた人の数
店前通行者数=店の入口の前を通った人の数(※一部店舗のみ)
店舗売上額=店舗ごとのレジ売上額(※一部店舗のみ)
※「店前通行者数」「店舗売上額」が把握できる店舗は一部です。

【全体の傾向】

「来店者数」は1月第3週以降、90%から緩やかに減少していましたが、最も落ち込んだのは、全国の公立学校の休校が始まった3月第1週で、前年の60.6%にとどまりました。同月第2週に入ると、前年の67.7%にやや持ち直し、同月第3週も同様の傾向が続いています。

「店前通行者数」は2月第1週以降、緩やかに減少していましたが、政府による時差出勤やテレワークの推奨があった2月第4週に78.5%まで下がり、3月第1週には69.5%まで落ち込みましたが、3月第2週には75.9%にやや持ち直しました。第3週はほぼ横ばいの傾向が見られます。

「店舗売上額」は2月第3週までは前年と同じ傾向でしたが、2月第4週に入ると前年の90%を割り、3月第1週には同64.2%に落ち込みました。同月第2週には、70.8%とやや持ち直し、同月第3週には85.6まで持ち直しています。

【店舗形態別の傾向】

「来店者数」の傾向
すべての店舗形態で、3月第1週に軒並み大きく落ち込みました。なかでも「路面店」が前年比55.8%と落ち込みが目立ちました。ただその後は同月第2週で58.0%、同月第3週で61.4%と少しずつ持ち直し基調に入っています。また「商業施設内店舗」も3月第1週に前年の59.1%まで落ち込みましたが、第2週には67.4%、第3週には68.6%と持ち直しつつあります。
※店舗形態別の「店前通行者数」「店舗売上額」は母数が少ないため分析しておりません。

【用語の定義】
「商業施設内店舗」=いわゆる「駅ビル」やショッピングセンター、百貨店など、様々なメーカー、ブランドが集まっている施設に入っている店舗
「路面店」=街中心部にある、駐車場がなく主に歩いて来店する個店を指す
「ロードサイド(RS)」=大きな駐車場がある郊外の個店
「アウトレット」=ブランド品を割引価格で販売する店が集合する郊外の施設を指す。

【エリア別の傾向】

「来店者数」の傾向
すべてのエリアで3月第1週が最低になりました。西日本より東日本の落ち込みが大きい傾向がみられます。特に、2月末に知事が緊急事態宣言を出した「北海道」は3月第1週が49.1%、「関東※」は同時期58.9%に落ち込みました。また、「中部※」も57.2%まで落ち込みました。同月第2週に入ると、どのエリアも来店者数の減り幅は和らぎましたが、第3週はエリアによって増減が分かれました。

※エリア別の「店前通行者数」「店舗売上額」は母数が少ないため分析はしておりません。
※今回対象になった店舗の所在地は41都道府県になります。山形、鳥取、山口、島根、長崎、福井の6県は除外しました。
※中部=愛知、岐阜、石川、富山、長野、静岡、三重、山梨、新潟の9県。
※関東=茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の7都県。

ABEJA Insight for Retailのカスタマーサクセス担当、小林航(こばやし・わたる)は以下のようにみています。

今回の調査を通じ、来店者数、店前通行者数、店舗売上額、全てが3月2週目以降に回復傾向にあることが分かりました。店前通行者数よりも来店者数の減り幅が大きいことから、ふらりと入店してくる『ウインドーショッピング層』が減り、代わりに最初からこれを買う、と決めている『目的購買層』の割合が増加していることが推察されます。個別の店舗のデータを見ても、入店率や買上率が上がっている店舗が多く存在していました。

こうした時期に店舗を訪れるお客様は、欲しいものが明確にあるなど、購買意欲が高いのでしょう。SNSを活用した情報発信などで店舗からお客様へのコミュニケーションを増やすことで、 目的購買層を増やすことができるかもしれません。

ABEJA Insight for Retail 事業責任者 伊藤久之(いとう・ひさゆき)は次のようにコメントしています。

全国的に来店者数の落ち込みに回復の兆しが見えてきたことは、小売・アパレル企業の皆さまにとっては朗報になるかと思います。ですが、新型コロナウイルスへの警戒をゆるめることができる状況では依然としてありません。3月19日、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で「地域の実状に応じた対策の必要性がある」との見解が示されました。

アパレル企業の皆さまにおかれましては、各地域毎のウィルス感染状況と店舗毎の経営状況を踏まえた、冷静な判断が求められている状況かと思います。私どもは今後も、小売・アパレル企業の皆さまのデータに基づく意思決定を支援していきます。