BMW「安全が保障されるまで自律走行機能を使用しない」

ロボティア編集部2015年12月7日(月曜日)

 BMWが「完全に安全が保障されるまで自律走行機能を使用しない」という立場を明らかにした。BMWハラルド・クルーガーCEOは12月5日、ドイツ日刊紙「ハンデルスブラット(Handelsblatt)」のインタビューに答え、自動走行に関わる今後の計画について言及した。

 同紙記者が「なぜ自律走行機能を取り入れないのか」という質問を行ったところ、クルーガー氏「私たちは120km / hで高速道路を走る自動運転機能を提供することができます。ただし、自律走行技術を100%信頼できるようになる必要がある」と答えている。

 BMWはすでに、自律走行に関連するかなりの技術力を保有していると見られている。しかし現在は、自動駐車など非常に単純で限定的な機能を提供するにとどまっている。ここ最近、世界の自動車企業をはじめ、大手IT企業が自律走行技術を商用化することを相次いで宣言しているなかで、BMWの姿勢は非常に慎重を期したものであるようだ。

 日本の自動走行関連の技術に携わる関係者によれば「現在、落葉などの障害物、路面凍結などに対して、どう安全を確保するかという問題が残っている」そうで、「まだまだ、技術的に解決しなければならない点は多い」としている。また、人間と自動走行車が並走する場合の事故リスクなども勘案しなければならないそうだ。

 さらに「自動走行車を開発する企業が発表した資料の中で、試験段階の事故リスクなどを公開したものはほとんどない」ともいう。「安全である」とは言われているものの、客観的な検証はあまりなされていないのが現状だ。自動走行ビジネスが過熱しそうな現在、BMWが自動走行に対して掲げるスタンスは、バランス感覚に優れていると言えるかもしれない。

 クルーガー氏は最近、主要メーカーが自動走行に様々な技術の導入を進める際、アプリケーションのように考えていると指摘したことがある。これは、70〜80%しか完成していない技術を、まるでベータテストのように提供することについて意見したもののだ。裏を返せば、自動車の安全は絶対に妥協が不可能だと強い意志を明らかにしたものとも取れる。

 BMWの方針が自動走行普及にどれくらいのインパクトをもたらすのか。各社の技術開発の推移とともに見逃せないイシューとなりそうだ。

image by BMW