夢物語でロボットは作れない、日本の学会とロボット研究

ロボティア編集部
ロボティア編集部

DARPAロボティックチャレンジ
DARPAロボティックチャレンジの風景 photo by industryweek

―海外メディアは、日本政府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)を好意的に報じています。その点については、どうご覧になりますか?

 非常に重要な試みで、従来の大学等の研究を集中的に加速する試みです。ImPACTの位置づけは、資金や人材を集約させて、革新的で、飛びぬけた物を創ろうというものです。プロジェクトマネージャーに権限を集中するなど、思考錯誤を進めていると聞いています。

 米国と比較するなら、DARPAがやっている研究プロジェクトが近いかと思います。こちらは、軍事予算がバックにあるので、認められれば数百億円単位の研究開発費がつく。NASAの宇宙開発も似たような傾向にあります。

 少し余談になりますが、米国の大学教授の評価の基準は何かというと、いかに企業からお金を集めて、プロジェクトマネージメントができるかだそうです。大学から供与される予算のみでやる考えはあまりなく、ベンチャービジネスに近い発想で研究を進めているようです。そうやって、数億円単位の研究資金を集めて、実用的なものを生み出すというのがアメリカ流です。学会でも、エンジニアリングとサイエンスが同等に扱われている印象があります。一方、ドイツの産学連携等政策の例を除けば、欧州ではまだサイエンスの位が高いのではないでしょうか。

 アメリカでは、技術の先端性に加え実用的価値が大学研究者の評価基準になっていると思えます。同時に、ベンチャーキャピタル、軍、企業などの出資者や、投資の目利きがいるという幸せな事情があります。 

―裏を返せば、日本でも産学連携を強化する必要があるとのご指摘だと思うのですが

 日本のロボット産業にとって産学連携は大きな課題です。これまで、アカデミア中心主義といいますか、研究者が想定するモチベーション、イマジネーションで終始し、ある意味、社会とは隔たりのある研究を続けてきた傾向があります。それらの研究成果はすぐに商品化することが難しいので、産の方も受け入れられないという悪循環が生まれていました。その乖離は、現在も大きいと思います。

 現在、ロボット学会では、双方が歩み寄るためには何をすべきか、実行的な施策としてどうするべきか、一生懸命模索している最中です。学会誌でも、企業の方に論文を書いてもらえるように、従来の基盤技術分野に加え、教育論文、システム開発、実証試験の分野を増やしました。

 システム開発や実証試験の分野はサイエンスに馴染まないというこれまでの評価を見直し、実際的な有用性を重視するといった体制の見直しを図っています。学術講演会でも、産業向けの技術講座、意見交換のためのフォーラムを催したりして、産側に対してどのような価値を提供すれば良いかということを常に考えています。大学側も研究資金が必要なので、産学連携のリエイゾンを作るなどのアプローチをしています。

 一方で、産側については、まだ学を信頼しきれていない部分があります。投資にしても、人材確保目的の域を出ていません。長期的な視点に立ち、大学の技術力を自分の製品開発戦略に取り込んでいくという発想が必要になってくると思います。