米大学、核や化学兵器の検出システムを小型化しドローンに搭載

ロボティア編集部2016年5月1日(日曜日)

 核、化学兵器、テロリストたちが道路に設置した即席爆発装置(IED)などを探知できるドローンが、早ければ来年には実戦に配備される見通しだ。

 アメリカのウィスコンシン大学・融合技術研究所(FTL)に所属する研究員たちが、核、化学武器、IED、地雷等を探知できる技術システムを小型化し、ドローンに装着することに成功。多数の米メディアが報じた。

 同研究所の所長であるジェリー・クルシンスキー(Jerry Kulcinski)名誉教授は、ドローンに設置するシステムの概要ついて、目標地域を中性子で着色する装置であると話している。彼はまた、同技術は空港で手荷物やコンテナをセキュリティチェックする際の技術と同様のものだとし、ドローンに装着できるほどの放射線源の小型化こそが、重要かつ革新的だと強調している。

 クルシンスキー名誉教授は、アメリカ軍がこのドローンを実戦に配備すれば、機動性の向上とともに、戦時の形勢を覆すことができるほど大きな役割を果たすだろうと主張している。例えば、探知機を備えたドローンを使用すれば、護送隊は道路に仕掛けられた爆発物の警報を受け、事前に対応することが可能となる。

 また、同技術は災害時にも大きな役割を果たす。地震によって生き埋めになっている人々の正確な位置を把握。救助活動を展開することも可能だ。また、重要な鉱物資源の埋設地点も特定できるという。

 アメリカ航空宇宙局(NASA)顧問でもあるクルシンスキー教授は、このシステムを「いまだかつて前例にないもの」と位置づけ、実戦配備には1年ほどかかるであろうと予想した。また、これらを常用化するためには、スポンサーや資金調達が不可欠だと付け加えた。

 アメリカ合衆国エネルギー部傘下にある、国家核安全保障局(NNSA)の高位関係者も「現実的に見て、このシステムは非常に有用である」と評価している。シリアの内戦が終戦した後に化学武器がしっかりと破棄されたかどうかを検証する場合や、イランの核兵器製造状況を把握するのに役立つと話している。

即席爆発装置_IED
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 特に情報機関においては人材を派遣せずとも特定の場所でどのような物資が使用されたのかを確認するのに便利だと話している。また、不審物を爆発させる装備はとても高価で、開発・生産には巨額の資金を要する。そのため、コスト削減にも有用だとみられている。

 ただ一方で、今回開発されたシステムも万能ではない。なにより、このような革新的な技術は最近になって実用化されたものなので、技術評価における時間が足りないことや、探知過程において放射線量をどこまで使用するのかについては懸念が少なくない。

 クルシンスキー教授は、探知過程で使用する放射線量を最小限に抑えると強調。目標地域に住む人々が1時間に吸収する放射線量は、3万フィート上空を飛行する旅客機に乗った乗客が、10分間で吸収するのと同じ水準だと説明している。

 ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)出身者である核物理学者で、現在、環境団体NRDC(Natural Resources Defense Council)に所属するマシュー・マッキンジー(Matthew McKinzie)氏も「高濃縮ウラニウムのような、もっとも危険な物質を探知することはたいへん難しい」と話しており、テロ組織は高濃縮ウラニウムを使用した核兵器を即席で作れるので、これに対する補完策も必要だと主張している。

 マッケンジー氏はまた、外側が鉛や鋼鉄でできている核兵器を探知する能力がもっとも重要であり、政府レベルで予算を設定し、テストの機会を設けることが重要であると付け加えている。