墜落しないドローン!? 韓国電子通信研究院が開発急ぐ

ロボティア編集部2015年9月25日(金曜日)

韓国電子通信研究院(ETRI)がひとつのハードウェアで、ふたつのオペレーティングシステム(OS)を使用することができるソフトウェアの開発に成功した。同技術は、墜落しないドローンの開発に利用されている。今後は、自動車の統合制御システムにも活用されることが期待されている。ETRIはひとつのハードウェアで、高信頼性リアルタイムOS(RTOS)と、高性能OSが同時に動作するデュアルOS「キュープラスハイパー」を開発したと23日に明らかにした。

この技術は、未来創造科学部の「超小型・高信頼(99.999%)OSと、高性能マルチコアOSを同時に実行するデュアルオペレーティングシステム源泉技術開発」の一環として開発が続けられていた。ETRI側は「今回の技術開発で、製造、通信、医療など組み込みシステム(embedded system)を活用する分野で、軽量化はもちろん、コストと消費電力の削減、故障時の迅速な修理が可能になる見込み」と開発の意義を指摘している。

最近人気を集めているドローンには、ふたつのハードウェアとふたつのOSが必要である。ひとつは飛行を担当し、もうひとつが映像処理を担当するためだ。このふたつのハードウェアを統合することがドローン開発の潮流となっている。しかし、ハードウェアを統合した際に画像処理に問題が発生すると、すぐにドローンが墜落してしまうという困難がつきまとっていた。

一方、デュアルOS技術を利用すれば、性能と信頼性を確保しながらも、ひとつのハードウェアにふたつOSを統合することができ、ドローンの軽量化と信頼性を確保することができるという。自動車のエンジンや燃料、ブレーキ制御装置、ナビゲーション装置などは、異なるそれぞれのシステムで構成されている。自動車業界は、各デバイスの動作を保証しながらも、一つのシステムに統合することを望んでいる。今後、ETRIのデュアルOS技術を適用すれば、統合された制御システムも実現することができる。

世界中で相次ぐドローン墜落事故
photo by von-oben.net

ETRIは「今回開発したデュアルOS技術は、組込みハードウェアに最適化された設計はもちろん、割り込み処理時間も最小限に抑えた」とし「またグラフィックス処理ユニット(GPU)の仮想化を通じてグラフィックスデバイスの同時使用をサポート、スナップショットイメージの保存と復元を通じた迅速な復旧と起動にも対応できる」と説明した。

今後、安全性が最優先である国防、自動車、航空、鉄道、船舶、ロボット分野で既存のハードウェア、OS、アプリケーションソフトウェアで構成された複数のシステムを、変更せずにひとつのシステムに統合することができる可能性が出てきた。ETRIは既存の飽和状態にあるOS市場での競争を避け、高性能デバイスベースのOSで必要とされる技術を先取りするために、関連する核心源泉技術の特許を12件出願したと説明した。

今回の技術に参加した研究者は、昨年イーブイ・ラボ(EVLabs)という企業も創業している。創業した研究者は、エラー発生時にも墜落しないドローンを開発中である。 ETRIは、これら技術を中小企業に広く活用してもらいたいとしている。今後、グローバル中小企業育成のための技術支援も行う予定である。

ドローンの墜落は世界中の政府担当者が懸念している事案である。墜落時のリスクが軽減すれば、各国の法整備およびドローンの普及にも大きな追い風になることが予想される。

(ロボティア編集部)