会計事務所大手・サムスンKPMGが、人工知能(AI)がスマートホームやIoT分野の中核インターフェースとして浮上するという見通しを発表した。
報告書「音声AI市場の動向とビジネスチャンス」は、スマートスピーカーやスマートテレビ、コネクテッドカーなど音声AIの活用範囲が増加。世界各国の企業が同市場に相次いで進出しており、大規模投資と技術開発を進めていることを指摘した。近年、ディープラーニング技術の発達とともに顧客と接点なる端末が普及、加えて音声認識技術に対するユーザーの認識・行動変化も伴って、関連市場が急成長しているという説明だ。
報告書によると、音声AI市場のバリューチェーンは、①基盤技術、②プラットフォーム、③ハードウェア、④サービスに区分される。音声AIを実装するための技術として、音声認識、自然語処理、セマンティック分析、音声合成などがあり、ディープラーニング、ビッグデータ、クラウドが基盤技術として活用される。
グーグルやアマゾンなどの海外大手IT企業は、およそ8年前から音声AIプラットフォームをリリースしプラットフォーム市場の覇権を争っている。一方、各国では通信会社や家電メーカー、インターネット企業が音声AIプラットフォームをリリースしている。
最近では、パートナー企業との提携を通じた影響力拡大やオープンエコシステム構築がトレンドとなっている。企業間の協力やサードパーティー(外部開発会社)との連携も目立つ。
報告書は、音声AI市場の拡大の主な理由として、スマートスピーカーの普及を挙げた。グローバル市場調査会社カナリスによれば、世界のスマートスピーカー年間出荷量は、2018年の7800万台から2019年に1億2460万台と60%増加した。音声AIとIoT機器およびハードウェアとの接点も増加。スマートテレビ、冷蔵庫、エアコン、コネクテッドカーなどにも活発に搭載され始めている。
音声AIを搭載した有望サービスとしては、音声を通じたショッピングである「ボイスコマース」、自動車に搭載される「車内音声サービス」、また複数のサードパーティーの参加による新たなサービスや「拡張機能」が挙げられている。
報告書は併せて、音声AI市場の拡大のためには、セキュリティとプライバシー問題の解決、性能向上、キラーサービスが必要だと提言した。
サムスンKPMG・電子情報通信本部のヨム・スンフン氏は、音声AI市場のエコシステム構築および市場の占有のため、技術、プラットフォーム、ハードウェア会社間の提携と競争が激化し、音声認識を開発する企業に対するM&Aが活発に行われるだろうとした。特に今後は、スマートホーム•IoTのハブの役割を掌握するため競争が、いっそう激しくなると見通した。
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