Googleジェフ・ディーン氏「AIが”モノを掴む作業”を学習中」

ロボティア編集部2016年3月9日(水曜日)

 Googleが、人工知能囲碁プログラム「アルファゴー(AlphaGo)」の基盤技術であるマシンラーニングを、他のロボットにも適用する方法を研究している。実現すれば、今後、汎用AIが搭載されたロボットが、初めて直面した問題に対しても、人間のように直感的推論に基づいて解決策を示せるようになる日が来るかもしれない。

 Googleは9日、韓国・ソウルの光化門フォーシーズンズホテルでマシンラーニングを解説する懇談会を開催した。懇親会に登壇したのはシニアフェローのジェフ・ディーン(Jeff Dean、上写真)氏だ。

 ジェフ・ディーン氏は、世界のプログラマーの間で“伝説”と呼ばれる人物である。 Googleが設立されてから1年後の1999年に入社し、現在のGoogleの主な収入源であるAdSenseのシステムを設計した。ビッグデータ技術の根幹であるマップリデュース(MapReduce)をはじめ、Googleの分散コンピューティングインフラストラクチャを共同で作り上げたことでも有名である。

 ジェフ・ディーン氏はこの日、Googleのマシンラーニングの研究事例として、ロボットアームを紹介した。 Googleはここ数年間ロボット企業を次々と買収し、ロボットの分野で多くの研究を行っている。ここにマシンラーニングを結合し、任意の状況にも対応できるようにするという目標を掲げている。

 ジェフ・ディーン氏は「ロボットがカメラで撮影された画像を入力値として使用し、どのような角度でどのように配置するべきか、自らの学習する(中略)現在、研究開始から5~6ヶ月しか経過していないが、マシンラーニングとロボットが密接な関係にあるため、今後、これららの協力体制は拡大していくはずだ」と述べている。ロボットがすでに、物体をどのように掴むか学習しているというのは非常に驚きである。

スタークラフト
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 ジェフ・ディーン氏はまた、マシンラーニングが現在のGoogleのービスにも数多く採用されていると明かした。 Googleフォトでは「抱擁」「犬」などのキーワードで写真を検索したり、Gmailではスパムとマルウェアを除去するのに使用されている。

 またGoogle翻訳、音声認識、地図、検索にもマシンラーニングが活用されているという。今後は、ヘルスケア分野にマシンラーニングを適用して、診断と予防などに活用するとしている。

 ジェフ・ディーン氏は「眼球を撮影した写真を見て、糖尿病かどうかを判別することができる技術を現在開発中」としており、「このため、複数の病院など医療機関と協力している」と説明した。

 一方、囲碁の現役世界王者イ・セドル9段とアルファゴーの勝負については、「大変、興味深い」と関心を示した。また、ディープマインド最高経営責任者(CEO)であるデミス・ハサビス(Demis Hassabis )が、オンラインゲーム「スタークラフト」に興味を持っていると言及。囲碁に続き、スタークラフトで人間と人工知能が対戦する可能性を示唆した。

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