siriの成長はいかに!?加熱する人工知能アシスタント競争

ロボティア編集部2016年9月19日(月曜日)

 先日ついに発表された、iPhone7。開発したアップル社はその特徴として、音声エージェントサービス「siri(シリ)」と簡単に連動できるという点を強調。いま再び、音声アシスト市場に注目が集まっている。

 アップル社のティム・クックCEOは最近、ワシントン・ポストとのインタビューで「言うなれば、siriはiPhoneの未来であり、我々は今後も人工知能技術向上のために注力していく」と話している。

 アップルは13日に披露した最新のOS「iOS10」でも、音声アシストであるsiriと、他のアプリサービスを簡単に連動できるようにした。例えば、ユーザーがsiriに「5分遅れると伝えて」と話すと、相手のチャットウィンドウに「5分遅れます」とメッセージが送信されるような形だ。

 アップルはアップルコンピュータ用OS「シエラ」にもsiriを搭載。siriはこれまでiPhoneやiPadなどで主に利用されてきたが、今後はmacコンピューターでも使用可能になるようだ。

 これまでアップルは、2011年にsiriを搭載して以降、断続的にグレードアップを行ってきた。最近はスケジュール管理だけでなく、音声認識精度の改善と、ユーザーの生活習慣を学習し、状況に合う情報を提供したり、機能を動作させるレベルにまで発展した。

 このように、人工知能(AI)技術を基にした音声アシストサービス市場は、急成長をとげている。経済専門紙フィナンシャル・タイムズ(TheFinancial Times)によると、音声アシストの市場規模は2024年には80億ドル(約8163億円)となり、今年2016年比で10倍も大きくなるものと見込まれている。

 グローバルIT企業各社がこぞって、続々と関連技術をグレードアップするのもこのためだ。LG経済研究院の李承勲(イ・スンフン)責任研究員は「人工知能プラットフォーム競争では、先取り効果が大きく作用する可能性が高いとみられている。よって、もともと市場に進出していながら、先に開発した企業が絶対的に有利だ」としている。

 一方、昨年AI(人工知能)搭載のパーソナルアシスタント「アレクサ(Alexa)」を公開したアマゾンも、人工知能技術開発を続けてきた。 アレクサは情報検索からアマゾンショッピングモールを通じた商品を注文、決済にいたるまで多様な機能を遂行する。アマゾンはこの6月に、アレクサで利用可能なサービスが、1000種を超えたと発表している。

AIアシスタント_vivlabs
photo by viv labs

 アマゾンが販売している「アマゾンエコー(Amazon Echo)」は、アレクサを搭載したスピーカー一体型のシステムである。 音声を認識することで天気を知らせてくれたり、検索機能を提供し、ショッピングや音楽再生などもサポートしてくれる。アマゾンはこれまで、アマゾンエコーを300万台以上を販売し、市場をリードしている。

 また、グーグルも負けていない。今年初めに公開したパーソナルアシスタント搭載のホームスピーカー「グーグルホーム(Google Home)」は、会話型アシスタント機能「グーグルアシスタント(Google Assistant)」を搭載し、言語処理能力の大幅な向上に成功している。従来の「グーグルナウ(Google Now)」をさらに強化したようなパーソナルアシスタントで、これにより、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートTVなど、あらゆる場所からGoogleに話しかけられるようになったという。

 注目されているのは、大手企業だけではない。siri開発者らが設立した「ヴィヴ・ラボ(Viv Labs)」社が開発中の「ヴィヴ」は、いくつもの質問を理解するのはもちろん、要求を多数組み込んだ応用プログラムを実行するなど何役もの役割をこなせることから、多くの注目を集めている。

 通常の人工知能は、基本的にWeb検索の結果を表示する。そのため、複数の質問が重なった場合や複雑な要求には答えられないものだ。ところがヴィヴは、受け取った命令ごとに音声言語を解析し、自らプログラムを構築して対応する。ユーザーとの会話の中で出てくるいろいろな注文や指示にも、アプリを切り替えずに一貫してサービスを提供していくプラットフォームが、すでに作り上げられていることになる。

 ヴィヴ・ラボの最高責任者(CEO)であるダグ・キトラウス(Dag Kittlaus)氏は以前に「あらゆるものへ連結された人工知能インタフェースを開発することが最終目標だ」と話している。いまのところヴィヴの具体的な提供時期については発表されていないが、Webサイトには、近々身近なデバイスとして登場することをにおわせるような告知もなされている。

 人工知能アシスタント競争はどこまで加熱するのか。また、どのような技術がユーザーに提供されていくのか。注目のイシューとなりそうだ。