国際ロボット連盟(IFR)が発行したレポート「ロボットが生産性と雇用に与える影響(The Impact of Robots on Productivity、Employment and Jobs)」で、企業の生産性向上と雇用創出にロボットの導入が好影響を与えていると指摘された。
IFRはOECDの研究結果を引用。革新的な技術を導入した企業は、そうでない企業より2〜10倍より生産的であるとした。また2015年に発表されたグラーツ・アンド・マイケルズ(Graetz and Michaels)の研究を引用。産業用ロボットが、1993年から2007年までの間に、欧州17カ国のGDP成長に10%ほど寄与したと説明している。
報告書は米国のケースに言及しているが、それらによると、ロボットの導入により米国企業の生産性が向上し、海外に生産設備を移した製造系企業のリショアリング(Reshoring)が可能になったという。結果、2010年から現在まで、合計25万の雇用が米国本国に回帰したとした。また、他の研究結果を引用。自動化を通じて1999年から2010年までの間に、EU 27つの地域で、1000万個以上の雇用が増えたとも指摘している。
一方でIFRは、ロボットは雇用創出だけではなく、業務の質的向上と賃金上昇に寄与するとも指摘した。一例として、高リスクの作業にロボットが導入されることで作業の安全性が向上することなどがある。またロボットによる低熟練職の代替が、ロボットプログラマーおよびエンジニアなど高熟練労働者の需要の増加を促すなど、良質な雇用創出および賃金上昇に肯定的な影響を与えていると説明している。
IFRはそのような研究結果を前提として、ロボットが雇用、仕事、賃金に継続して肯定的な影響を与えることができるよう、政府と企業が緊密に協力する必要があると強調した。
Photo by KUKA (via wikipedia)