キユーピーが工場にAI導入…不良ジャガイモを選別

ロボティア編集部2017年7月26日(水曜日)

 マヨネーズでお馴染みのキユーピーが、人工知能プラットフォーム・テンサーフローの導入を進めている。キユーピーは毎日4〜5トンの食材を使用。ひとつの工場で処理される材料の総数は400種にのぼると言われている。そこでは、いかに効率的に不良食材を選別できるかが、大きな課題となってきた。

 これまでは、熟練した人間の作業員がその目で不良材料を選抜してきたのだが、生産量を増やすとなると能力や体力にはおのずと限界がでてくる。一方、カメラとセンサーを利用したマシンビジョンシステムの導入には、高価な設備費とかなりの作業スペースが必要となり、正確性にも懐疑が残っていた。

 そこでキューピーは、開発パートナー「ブレインパッド(BrainPad)」とともに、不良材料の選別を迅速に行えるAIソリューションの開発に乗り出した。まずテストに使用されたのは、離乳食の主材料であり、最も安全な検査を経るべき難易度の高い食材「みじん切りジャガイモ」だった。両社は18000枚以上の画像を使用。AIに不良ジャガイモについて学習させた。

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 そもそもキユーピーに供給される食材は、すでにある程度の品質検査を終えたものであるため、不良材料のデータを収集することは容易ではなかったという。そこで、AIに良質な材料のデータを入力。そのデータから漏れる不良材料を見つけるように努めた。結果、学習速度が向上。今年4月まで、工場で稼働するプロトタイプモデルのテストが続けられてきたが、あえて不良材料を混ぜてもほぼ完ぺきに見抜けるまでに精度が向上したという。その“目利きぶり”は、経験豊富な技術者も驚くほどだという。

 キユーピー側は、AIが作業員を代替するものではなく、その作業をサポートするものだと説明している。AIがまず不良材料を除外し、その後に従業員が再び確認することで、安全かつ健康的な食材をより確実に担保できるというわけだ。

 現在はみじん切りジャガイモのみに使用されているAIだが、今後はより多くの材料に適用できるようシステムが拡張される計画だという。また開発プロセスが順調に進めば、他メーカーにも技術を提供していく予定だという。