テクノロジーで新たな顧客体験創出を目指すワトソンズ

ロボティア編集部
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Photo by ASワトソンズ・グループHP

中国のアナリストによると、ワトソンズが高い収益性を確保しているのは、以下の3つの理由があるという。すなわち、「ブランド力のある商品の販売」、「サプライチェーンにおける有利な仕入れと価格帯」、そして「主要営業業務以外からの収入」(ワトソンズが商品のサプライヤーから徴収する手続き費用、同じくサプライヤーから徴収するラックへの陳列費用、サプライヤーから徴収する商品の宣伝費用など)である。

業績が回復基調にあるワトソンズは近年、様々な新しい取り組みを行っている。まず、決済部分の取り組みを見てみよう。ASワトソンズ・グループは、5月に香港島の複合商業施設・長江センター内に傘下のワトソンズや家電、スーパーを集めた「CKC18」をオープンさせた。ここに新たに出店した「Watsons Lab」で無人レジを導入。これは電磁波を使って商品情報を非接触で読み取る次世代のタグ「RFID」(radio frequency identification)を商品につけ、買い物客は専用レジに商品を入れたカゴを置くだけで自動的に清算されるという仕組みで、日本ではアパレルのGUなどが同様の仕組みを導入している。

また、9月からワトソンズ独自の「Watsons Pay」もスタートさせている。これは専用アプリ「Watsons APP」を通じて行われる支払い方式で、2020年までに同アプリとLINEペイ(台湾ユーザー向け)で決済する顧客を600万人にまで増やすことを目標としている。無人レジや無人店舗の導入を進めるワトソンズでは、顧客の出入店管理や商品推薦、健康状態の管理、決済機能をすべてアプリ上で行うと発表しており、独自の決済方法にこだわったのだろう(同アプリ上で銀聯やWeChat Pay、AliPayの3大決済にも対応するかどうかは現時点で不明)。ちなみにワトソンズは同業他社に先駆け、2015年にいち早くWeChat Pay(微信支付)を導入。同決済を利用した顧客に必ず割引券が当たるくじ引きを行い、導入後わずか半年でWeChat上のワトソンズ会員が100万人を突破したことで話題となったこともある。

ARスマートミラーの導入を積極的に進めている点にも注目したい。ワトソンズでは100種以上の化粧品について、実際に使用した場合、どのような仕上がりになるか瞬時にミラー型モニターに映す技術を採用。台湾・パーフェクト社のARメイクアプリYouCam Makeup を使ったバーチャルメイクはまるで現実の鏡に映しているかのようなリアルな感覚で自由にさまざまな化粧品を試すことができる。国内外の多くの美容ブランドで導入が進む、注目のテクノロジーだ。ワトソンズでは2017年2月にまず上海・浦東区の店舗で導入し、その後、台湾や香港でも導入が進んでいる。

■中国物流大手やロレアル、ユニリーバとの提携が意味するもの

一方、世界最大の化粧品メーカー・ロレアルとの提携もあった。1月、ワトソンズとロレアルは中国・深センに新しいコンセプトとなる「Colorlab by Watsons」をオープンさせた。同店は従来のワトソンズのイメージカラーとは異なり、黒色と白色を基調とした店舗デザインが特徴だ。店内にはさまざまな人気ブランドの最新化粧品をARメイクなどで試すことができ、ロレアル以外にもワトソンズの独自ブランド「Makeup Miracle」「Collagen」、日本の「KATE」「KISSME」、韓国の「CLIO」、アメリカの「MAX FACTOR」、中国の「Mariedalgar」など、海外ブランドに加え中国国内の20ブランドも店頭を華々しく飾っている。ワトソンズは今後、このColorlab by Watsonsを中国大陸で50店舗まで増やすと発表している。