(本稿は急速発展する中国最貧エリア・貴州省[vol.1]の続きです)
貴陽で唯一のユニコーン企業もあった。Uberの貨物版のようなもので「貨車帮」というサービスである。空いているトラックなどが登録しておくと荷物を運びたい人とマッチングする。しかもビッグデータを使い効率的にマッチングを進めているという。
深センにもこの様なサービスはあるのだが、貴陽の企業がそこに入り事業を拡大している事に驚きである。しかも貴州省唯一のユニコーン企業にまで成長している。次に向かった朗馬科技は、医療ビッグデータを使ったIoT医療などを運営している企業である。貴陽は健康医療ビッグデータの国家トライアル地点となっている。医療IoTサービスも既に実装しており、貴陽市の中心にある病院が協力して郊外の村に住む老人をオンラインで診察している。
貴陽IT病院というのが既にあり、そのプラットフォーム上で診察や簡易診断などが可能で病院の予約もオンラインで可能である。中国の大きな問題として病院で番号札をもらっても順番が来るのが数時間後、酷い時は数日後なんてこともあるくらいだ。
またここでは血液検査キットもスマホのような独自の端末を使い、採取した血液を端末でデータ化して送るというサービスも行っている。実際に現在進行中のオンライン診療を見せてくれたが、村の診療所にあるカメラと病院が繋がり、先生が身体の状況などを聞いている場面が見れた。
深センでもそうだが、この様なサービスを実装にまで持っていくのが早い。最貧省と呼ばれた場所で最新テクノロジーをリアルに使っていることは驚きである。しかも、この全てが医療ビッグデータとなり、更に活用されている。
この企業や前述のビッグデータセンターもそうだが、とにかく展示室の未来感が半端ない。狙っているのか分からないが貴州にいる感じをさせないくらいすごい作りである。このギャップが良いのか、とにかく貴州が力を入れてることはものすごく感じられる。
次に向かったのはZONE HackSpaceというメイカースペースの工場版のような場所で、深センでは流石に工場規模のものは見たことがない。ここでは数日後に無人運転ハッカソンが行われるとのことで、海外からの参加もあるという。工場と呼べる場所なので、それなりに大きな機械も備わっており、反対側にはコンテナを改造したおしゃれなオフィスエリアがあった。
無人運転ハッカソン直前なのかいくつか車のプラットフォームがあり何か作業している所も見えた。ここの代表の方に案内してもらったが、無人運転で動くコーヒーショップを作っていた。ちなみにコーヒーもロボットが入れるとの事で、完全に無人でコーヒーを提供できる。こういう物を実際に作ってしまう所がさすがである。いつかこの無人コーヒーショップが可動する時は利用してみたい。
夜に市内に戻ってみると結構人が多く、ショッピングモールの飲食店などは行列になっているところもあった。昼間のハイテク区とは違い若者がたくさんいるのは確認が出来た。また日本料理店もいくつかあり1時間待ちとなっていた。深センで最近流行っている抹茶系のお店が出ていたり、VRゲームセンターがあったり、沿岸部での流行も数は少ないが既に入ってきている。座談会の時に話題が出たが、一番人気のある日本料理店は2日前からでないと予約すら出来ないほどの人気だという。飲食スタートアップ系の人には今がチャンスかも知れない。
>>>【ルポ】急速発展する中国最貧エリア・貴州省[vol.3]...VRテーマパークの巨大ガンダム
【取材/文:佐々木英之】
■原文:【特集記事】貴州省貴陽視察 中国最貧省が急速発展!②
■出典:深セン経済情報