サムスンが社内7プロジェクトのスピンオフ支援...「VR・AR仮想デスクトップ」など過去最大規模

ロボティア編集部2017年11月27日(月曜日)

韓国・サムスン電子が、社内ベンチャー育成プログラム「Creative Lab(以下、C Lab)」内の優れたプロジェクト7つに対し、創業支援を行うと10月末に明らかにした。今回、対象プロジェクトに参加しているサムスン電子社員は合計25人となり、ラボ開設以来、最大規模となる。

C Labは、2015年から上・下半期に分けてスピンオフ(独立支援)を進めており、2年間合計(今回を含む)で32社のスタートアップが創業した。なお今回は、サムスン電子関連企業の職員が参加するプロジェクトの初スピンオフ事例も登場した。

今回、創業が決まった7つのプロジェクトは、7月から事業計画の本格的な計画を策定。社内外の専門家から起業に必要な実務教育を受けてきた。スピンオフするプロジェクトの概要は以下の通りだ。

■ハイパリティー(Hyperity)
VR・ARで「リモート仮想デスクトップ」を実装・制御するソリューションを開発する。仮想スクリーンを利用することで複数のモニタを同時に浮かべ、様々なコンテンツを簡単にコントロールすることができる。モバイルで稼動することが困難な3Dグラフィックツールや高性能PCゲームも、場所の制約なく楽しむことができる。

■リンクフェイス(Linkface)
ユーザーの表情や口の形、瞳の位置を認識してVRを操作することができる、新しいコンセプトのインターフェイスを開発している。表情認識に基づく感情分析を行うことができ、VRコンテンツのユーザー分析も可能となっている。

■ピクセルロ(PIXELRO)
老眼ユーザーがより快適にスマートフォンを使用できるようにしてくれる「視力補正ソリューション」を開発している。近くの文字を読むときに必要な眼鏡機能を、スマートフォン前面にあるレンズアレイフィルムや映像処理アルゴリズムで実装。メガネがなくても画面をよく見ることができるよう支援する仕組みだ。

■ブルーフィル(BlueFeel)
個人が持ち歩くことができるミニ空気清浄機を開発している。PM2.5などの問題でマスクを着用する人が増えるなか、「口を防ぐ不便さを解決できないか」という課題設定から研究・開発が始まった。同製品は、専用のフィルターを通じてきれいになった空気を、ファンを通じて口・鼻の周りに吹きかける形で動作する。

■ディファインド(Defind)
スマートフォンのカメラを利用して、ユーザーの足のサイズを測定。3Dデータを提供し、オンラインでぴったりの靴を探してくれるサービスを開発。最近オンラインで靴を購入するユーザーが増えているなか、誤ったサイズによる交換や返品問題が相次いでいる点に着目した。

■ワンドロップ(1Drop)
スマートフォンのLED光源とカメラを利用して超低価格の「血糖値測定ソリューション」を開発する。スマートフォンで血糖値のほか痛風、コレステロールなど様々な慢性疾患に関連数値を専門診断機器レベルで正確に測定することができる。遠隔医療診療が活性化されているインドを中心に初期市場を攻略する計画だ。

■ソフトランチ(Soft Lunch)
サムスン電子とサムスン証券の社員が参加した同プロジェクトは、ユーザーの実際の購入データに基づいて、「虚偽の情報」がないグルメおよび飲食店情報を推薦してくれるECサービスを提供する。

これまでC Labからスピンオフしたスタートアップの多くは、国内外で継続的な投資を誘致している。「Linkflow」、「エイムト」「IOFIT」など、今年、C Lab 出身の企業が外部から誘致した投資金額は7億円に達する。なお、360度カメラを開発してきたLinkflowは、当初30〜40代の旅行者を対象に市場獲得を狙ってきたが、セキュリティ市場で大きな反響を得ることに成功。専用の360度カメラ製品を「CES2018」で披露する予定だ。

余談だが、韓国IT企業最大手であり、韓国国内の企業時価総額6位にランクインしているLINEの親会社「NAVER」は、もともとサムスンの社内ベンチャーとして活動をスタートさせた過去を持つ。今後、どのようなスタートアップがサムスンからスピンオフするか注視したい。

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