フリーランス人材市場「重要スキル」1位はVR...米人材大手のランキングで判明

大澤法子2017年8月10日(木曜日)

 世界最大のフリーランサー向けクラウドソーシングサイトを運営する米人材企業アップワーク(Upwork Inc.)は1日、2017年第2四半期のフリーランス人材市場において特に重要な20スキルをランキング形式で提示したうえで、VRに関する知識・能力が最有力視されていると発表した。

 昨年VR元年を迎え、中国のテンセントや日本のグリーなど、世界のテック企業がVRへの投資に積極的な姿勢を示している。米国のIT系コンサルティング企業IDCが8月3日付けで発表した報告によると、2017年におけるVR・AR関連支出額は114億ドルと予想。その後毎年倍増し、2021年には2150億ドルに達する見通しだ。

 VR・AR市場の拡大に伴い、関連の人材への需要が高まると分析したのがアップワークだ。同社は自社運営の「Upwork」上でフリーランサーに支払われた金額に基づき独自のスキル指標を打ち出すとともに、前年からの成長率を算出。そのデータによると、同社が重要視する20スキルの需要は2017年第2四半期で急速に伸びており、特に上位10スキルにおいては昨年の同時期と比べ300パーセント増であるという。

 同社が発表したランキングのトップに躍り出たのが「VRに関する知識・能力」だ。10位以内にランクインしたスキルは以下の通りである。

1.VRに関する知識・能力
2.自然言語処理能力、
3.計量経済学関連の知識・能力、
4.学習管理システム(LMS)運用能力
5.ニューラルネットワーク関連の知識・能力
6.ペネトレーションテストを扱う能力
7.SEO監視能力
8.画像のパターン認識技術を駆使した画像処理能力
9.プロジェクト管理アプリケーション「Asana」で業務や事業計画を管理する能力
10.フェイスブックAPI開発能力

 さらに10位以下には、スイフトを使った開発能力、マーケット分析能力、地理情報システム(GIS)に関する知識・能力、ドッカー(Docker)に関する知識・能力、アドビ・フォトショップ・ライトルームを扱う能力、機械学習関連の知識・能力、アングラーJSを使った開発能力、動画広告を生成する能力、ショッピファイ(Shopify)を使った開発能力、パードットマーケティングに関する知識・能力と続いている。

 上位10スキルのうち、自然言語処理能力およびニューラルネットワーク構築能力はAIと密接な関係にあり、VRを除いた残りの7つの能力は数学的センスやコーディングに関わる。したがって、VR系のエンジニアは単にVR分野に詳しいだけではなく、データスペシャリストやプログラマー、数学のエキスパートとしてオールマイティに精進していく必要がある。

 VR向けヘッドマウントディスプレイ製造大手オキュラスは2014年、フェイスブックに20億で買収。それ以来、VR向けヘッドマウントディスプレイ「オキュラス」の価格は下降しており、一方で翌年にはより消費者を意識した新型を発売予定だ。ゲーム業界を中心に熱視線を浴びるVR技術だが、VRを活用したうつ病やPTSDなどの治療の実現に向け臨床試験がすでに始まっており、ゲーム業界以外での可能性が大いに秘められている。

Photo by tmeier1964