仮想現実(VR)と拡張現実(AR)により、これまでにできなかった体験が可能となった。戦争や内戦など、交戦地域に“赴き”、傷つくことなく現場を体験できるというのもそのひとつだ。
2015年、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とGoogleは、パートナーシップを提携し「ザ・ディプレイス(The Displaced)」というVR映像を公開した。
同映像は、戦争で難民となった子供たちのストーリーで、Googleカードボード(Google Cardboard、ユーザーのスマートフォンでVR体験できるようにする装置)を利用して、視聴することができる。ニューヨーク・タイムズは、このビューアを紙の新聞の購読者に無料で配布した。
キッチンリフォーム時にも、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の技術が取り入れ始められている。 Lowe'sホームインテリアは、米国内の19の店舗にホロルーム(Holoroom、バーチャルリアリティのインテリアツール)を設置している。
顧客がリフォームしたい部屋の間取りやサイズを伝えると、仮想ルーム内で様々なLowe's製品を疑似体験するとこができる。VRヘッドセットを利用し、疑似体験した後にデザインを決定・キャンセル・購入することができる。顧客は、店頭の自動販売機から無料のGoogleカードボードを入手し、家に持ちかえり、YouTube 360からデザインを再確認することもできる。
Lowe'sは現在、AR機能を追加する計画を立てている。Lowe'sイノベーションラボのカイル・ネル(Kyle Nel)常任理事によれば、顧客は新たなAR機能を使用し「自分の家の台所に立ちつつも、(現在ある)冷蔵庫の上に新しい冷蔵庫を重ね合わせることができるようになる」という。イケアも似たようなサービスを提供し、顧客が収納箱の色を変更したり、大人と子供が眺める目の高さの違いから、スペースを比較することができようにしている。
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)は、教育現場にも導入され始めている。オハイオ州クリーブランドにあるケース・ウェスタン・リザーブ大学では、ホログラムを解剖学の講義用教育ツールとして使用している。ホログラム授業を導入することにより、人の遺体の必要性が減ったり、まったくなくなることもありえるそうだ。
トースターのような生活機器の修理にも、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を利用することができる。主婦や技術者が、デジタル図解および説明書と、AR対応のスマートグラスを利用し、修理前と修理後の家電製品を重ね合わせることも可能となるだろう。
昨年はポケモンGOなどARゲームが世界的に流行になったが、それらの真価はまだまだこれから発掘されていくと考えられる。仮想および拡張された現実が、僕らの生活をどう変えていくのか。2017年も新しいアイデアの登場に期待が膨らむばかりだ。
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