仮想現実でダイエット「デジタル化」する未来の食事

ロボティア編集部2016年5月2日(月曜日)

 VR技術+分子ガストロノミー(Molecular Gastronomy)で、効果的かつ“満足”にカロリー制限を達成しようというプロジェクトが進められている。「プロジェクト・ノウリッシュッド(Project Nourished)」と命名されたそのプロジェクトでは、低カロリー食品を食べた際に「まるで自分の好きな食事を採ったかのように脳を騙し、食欲を補う」という方法を模索している。

 同プロジェクトを紹介したHPおよび動画では、バーチャルリアリティヘッドセットを装着したユーザーの嗅覚をアロマ噴霧器で刺激、また咀嚼音を作る骨伝導コンバータでアゴと耳に振動を与え、“現実”に食事を摂取しているかのように脳を錯覚させるという手法が紹介されている。一方、ユーザーはジャイロスコープを搭載した食器具で、現実と仮想内の食べ物を同時に扱えるようになっている。

仮想現実_食事_Project Nourished2
photo by projectnourished.com

 人間が現実で口に入れる低カロリー食品は、3Dプリンタで海藻を加工したものだそう。「仮想カクテルコップ」なども用意されており、こちらは満腹感の代わりに、ほろ酔い気分を味わえるという。

 プロジェクト・ノウリッシュッドを運営するコッキリラボ(Kokiri Lab)のCEO、アン・ジンス氏は、このプロジェクトの意義について「多重な感覚(味覚、触覚、嗅覚、質感)による経験を、テクノロジーによって結合させる」としている。

 アン氏自身、もともとグルテンや大豆にアレルギーがあり、それらを口にするたびに不便さを感じていたという。そのため、仮想現実的な食事を通じて、体重管理したり、糖尿病や食べ物にアレルギーを持つ人々が、料理を存分に楽しむことができるよう助けたいと、その動機を明かしている。

 テクノロジーの発展が進み、食事という人間の本能的欲求、そして文化ですらデジタル化するとしたら。非常に興味深いプロジェクトであると同時に、人間の欲について改めて考えさせられる契機になりそうだ。