インターネットゲームやWeb漫画はほとんどアプリケーション(アプリ)を通じて提供されるが、韓国では、IT市場においてアプリ産業によって生まれる雇用が約40万件にのぼる。アプリ市場のデータを分析・提供するアップアニー社は、韓国アプリ市場は2022年に8兆5000億ウォン(日本円で約8500億円)になると予測。これは、中国、米国、日本につぐ、世界4位の規模である。韓国の専門家は今後、5G技術の発展により関連コンテンツ市場が急速に成長すると予想されているなか、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など新技術を導入したキラーアプリに注目するべきだとしている。
市場調査会社IHSマークイットによれば、2017年の世界の消費者向けVR・ARアプリ市場は2016年より72%増加した32億ドル(約3500億円)規模であった。専用のヘッドセットが必要なVRより、スマートフォンで簡単にアクセスできるARの注目度が高く、消費者向けARアプリ市場は今後5年間でVRアプリ市場を大きく上回る見通しである。
韓国ではARアプリが人気を集めている。日本でもお馴染みのNAVER社のカメラアプリ「SNOW(スノー)」が代表的で、ユーザー数は3億人に達している。 同アプリは一般的なカメラアプリ機能と同じであるが、今後メッセンジャー機能が削除され、より純粋なARアプリとなる計画である。同社関係者は「中国での利用者が多い。(中略)ユーザーの好みを分析し現地に合ったサービスを迅速に提供して中国市場の安定を図りたい」とコメントしている。
また、VR市場はAR市場に対し後れ取っているが、専用ヘッドセットが開発されれば関連アプリ市場も急速に伸びるとされる。IHSマークイットは、VRヘッドセットの昨年の使用量は2800万台だったが、2021年には7570万台まで増加すると予測している。加えて、超高速大容量データ通信を可能にする「5G」が本格的に商用化されれば、VR・AR専用のキラーアプリが相次いで登場してくる可能性が高い。無線VRの活性化などにより多様なコンテンツが生まれ、市場の拡大が見込まれている。韓国業界関係者は「VR・ARコンテンツはゲームだけでなく、流通(買い物)・教育・メディアなど多様な分野に活用できる。(中略)5Gを活用し多様なキラーアプリを開発できれば、新しいコンテンツ市場を創出できるだろう」とメディアに対して語っている。
一方、中国・EC大手JDドットコムは、顧客が実際に化粧品や口紅を塗らずに様々な色を試すことができる「ARビューティーミラー」(以下、ARミラー)や、買い物客が服を試着した姿を見られる「3D仮想試着室」(以下、VR試着室)を導入している。タッチパネル上で操作ができ、数秒でメイクや服を着用した姿を確認できる。
同社関係者は「買い物客は時間が制限されているなか、様々な化粧品や服を試してから購入する。(中略)ARミラーとVR試着室は実際の姿を完全に再現できないものの、ショッピングの効率を高めてくれる」とメディアに対して説明している。
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