人工知能(AI)がセルフィー画像(自撮り画像)だけで人の性格を類推することができると証明した研究結果が発表された。ロシア国立研究大学経済高等学院(通称:HSE)などで構成された研究チームは、ロシア・英国スタートアップ「BestFitMe」と協力。セルフィー画像から性格判断を行う人工ニューラルネットワークを学習・開発した。
顔立ちから性格を分析するという着想は古くからある。古典的な犯罪人類学では、犯罪者には先天的な身体的特徴があるとの主張が提起されたこともある。しかしながら、それらの主張は現代科学の具体的な研究結果とは隔たりがあり、証明されたとは言い難かった。
ロシアの共同研究グループが行った今回の研究では、「ビッグファイブモデル」に基づいて性格の特徴を測定する独自のアンケートを作成。合計7万7346余りのセルフィー画像を撮影した2万5202人余りのボランティアを対象に実施された。ビッグファイブとは、「開放性」「誠実性」「外向性」「親和性」「神経症」など人の性格を示す要因5つを形式化したものを指す。今回、示すことに成功した指標は「良心的」「優しい」「誇大妄想的」「神経症」「開放的」という要因だった。
研究者は結果に一貫性やクオリティーを担保するため画像を事前処理。感情が表現された性格が分かりやすいセルフィー画像や、誰でも知っている有名人の写真は除外した。その後、それぞれの画像を128つの特徴に分類するよう画像分類ニューラルネットワークを学習させた。最終的に研究チームは58%の確率で、ランダムに選ばれたふたりの個人の相対的な性格について正確に推測をすることが可能になったと説明している。これは、対象に人間が直接会って性格を予測した際の結果を上回る数値だそうだ。
なお今回の研究では特に、「良心的」という性格が他の4つの属性よりも容易に認識することができたという。また女性の顔をベースにした性格予測が、男性の顔のそれよりも信頼性が高いことが分かった。
映像や目の動きではなく、写真だけで個人の性格を予測できるAIの研究結果は珍しい。研究チームは、写真で性格を類推することができるようになれば、既存の人物評価を補完する手段になりうると主張している。また、顧客の個性に合った商品や顧客サービスを提供する過程で、最適のマッチングを見つけるためにも使用できるとしている。
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