囲碁、ポーカーなど、人間と人工知能の対決が行われるなか、翻訳分野でも両者が激突した。先に結果を書くならば、人間の完勝となった。が、その対決過程では、勝敗そのものよりも「人間と機械が協業する道」を模索すべきという意見が出てきた。
2月21日、韓国・国際通訳翻訳協会と世宗大学が共同で主催した「人間対人工知能の翻訳対決」がソウルで開催された。この日の対決には、中国の「中央テレビ(CCTV)」など多くのメディアが駆けつけた。対決は、人間の翻訳者4人と、人工知能3つが課題を翻訳。その後、出題者である韓国通訳・翻訳士協会の会長をはじめとする協会専門家3人が、スコアをつける形で進められた。
人間の翻訳者の代表は、30歳の若い女性から55歳の男性など、各性別と年齢層のプロ翻訳者が担当した。一方、人工知能の翻訳は、Google翻訳、ネイバーの翻訳AI「パパゴ(papago)」と、人工知能「シスト」がそれぞれ引き受けた。なお評価課題は、文学分野と非文学分野の文章を、それぞれ英語からハングル、ハングルから英語に相互翻訳するというものだった。人間の翻訳者はインターネット検索を利用して、50分間翻訳を行なった。
評価は30点満点だったが、人間翻訳者の平均は24.5点、人工知能の平均点数は10点となり、人間の方が優れた翻訳能力があるとされた。なおGoogleやネイバーは、主催者側に技術利用を認めただけで、大会には関与しなかった。
当日、同じ場所で開かれた「人工知能翻訳討論会」に出席したニューラルネットワーク技術企業・ソルトルックス(saltlux)のシン・ソクファン副社長は、「囲碁は勝負が明確なゲームだが、翻訳は勝敗の絶対的基準がない。(対決は)機械翻訳の有用性を確認する程度の意味」と述べた。
一方で、人工知能やニューラルネットワーク、機械翻訳の急速な発展の速度を考慮し、人間と機械の共存を真剣に考えるべきだという意見も出てきた。機械翻訳の専門企業シストのキム・ユソク戦略担当常務は、「翻訳の分野では、人間と機械間の協業を実現しようという努力が長い間なされてきた。(中略)今後、業務の流れをどのように分担し、効率的に進めることができるかが課題」と意見を述べている。韓国翻訳学会のホン・ミョンス会長は「機械翻訳を活用する術を知っている翻訳者を育てる教育が開始されている」と、業界の状況を示唆した。
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