人工知能が17世紀の古典文献を機械翻訳...作業期間が27年も短縮と予想

ロボティア編集部2017年3月1日(水曜日)

 人工知能による翻訳、すなわち機械翻訳の精度向上が進むなか、韓国古典翻訳院がその人工知能を使った「古典文献自動翻訳システム」を構築することにしたと発表した。韓国には朝鮮王朝時代最大の機密記録「承政院日記」という古典があるのだが、人工知能システムは、その全巻を翻訳するのに使用される見通しだ。

 承政院とは、朝鮮王朝時代の役所で、現在で言う、大統領秘書室に該当する機関。その日記には、行政、王命、出納などの一部始終が記録されている。国王が臣下たちと交わした話や、その日の天気までつぶさに記録されていて、史料的価値の高さから2001年9月にはユネスコ世界記録遺産にも指定されている。

 承政院日記は、史料としては消失した部分が多いのもたしか。それでも、1623年(仁祖1年)旧暦3月から1910年(純宗4年)までの膨大な記録が残っており、冊数にすると3243冊にのぼる。

 韓国古典翻訳院の「承政院日記全巻翻訳プロジェクト」は、1994年に開始しており、完了は2062年と予想されていた。しかし今回、自動翻訳システムが構築されれば、その完了が2035年にまで短縮されると予想されている。年数にして約27年の前倒しだ。

 人工知能を使った古典翻訳サービスの構築は、韓国・未来創造科学部が主導する「ICT基盤公共サービス促進事業」の一環。未来創造科学部は今年、同事業に合計で211億ウォン(約21億円)を投入するとしている。

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