「2018年には、全世界で300万人以上の人々がロボット上司に接することになるでしょう。また、業務用書類の20%を機械が作成することになるはずです」
米国市場調査会社ガートナーは先月10月、米オーランドで毎年恒例のガートナーシンポジウムを開催。「デジタルの未来」というテーマを設定し、2016年以降のIT業界の見通しについて発表した。
その席で発言したダリル・プラマー副社長は、「最近、トレンドになっているロボットや人工知能を企業や消費者が積極的に採用し始めた」と指摘。「自ら考えて学習する機械である“スマートマシン”と、問題を解決するためのアルゴリズムが、未来の社会を牽引するだろう」と予想した。
ガートナー氏は、最新動向と多様な研究をもとに、社会の未来像について以下のように予想するとした。
①2018年には業務用資料の20%は機械が作成"
人が書類を作成していた時代から、機械が作成する時代になる。データ分析情報は、新技術をもとに自然言語に変換することができるようになる。株主レポートや法律文書、市場レポート、プレスリリース、記事のような業務用のコンテンツも自動文書作成ツールで生産される。
②2018年には、300万人以上がロボットの上司と接することになる
意思決定を“ロボット上司”が行う比率が徐々に増加する。ロボット上司は部下の業績まで評価し人事やボーナス支給の決定などを行うようになる。
③2018年、高速で成長する企業の45%は、従業員よりスマートマシンの数がより多い
性能に優れたスマートマシンを最初に活用する企業は、新興企業(スタートアップ)である可能性が高い。新興企業は人を雇用して訓練させる代わりに、スマートマシンを高度化させることに集中する。セキュリティ企業の場合、ドローンだけで監視サービスを提供するかもしれない。
④2020年、モバイルを通じたコミュニケーションの40%は、仮想アシスタントを実行する
仮想の個人秘書が利用者の習性を把握、情報を蓄積し、利用者の代わりにコミュニケーションを取る時代が来る。仮想アシスタントは、利用者が何も言わなくても要求を予測し、望んでいる関係を形成するまでに発展する見込みである。
⑤2018年、200万人の労働者が健康状態を“監視”する装置を身に着ける
身体的な活動が多かったり、事故の危険が大きい職種の勤務者は、雇用者がウェアラブル機器を通じて健康状態を自動的に追跡するようになる事例が増えるだろうと予測。特に警察官や消防士、救急救助要員、運動選手、航空機のパイロットなどが大きな割合を占めると予想した。
⑥2020年、人間の制御を受けない自立型ソフトウェア機関が経済全体の5%を占める
アルゴリズムで自動制御されているソフトウェアは、すでに経済に介入してきていが、まだ完全に自立しているとは言えない。今後、新しい自立型ソフトウェア機関が、人間の手を借りず、保険、証券取引など金融業務を遂行するようになる。
photo by gartner.com