人工知能(以下、AI)の開発が世界規模で進んでいる。そんななか、人工知能スタートアップ・Element AIが、LinkedInのデータおよびグローバル規模で行われているAI会議のデータを分析。各国のAI人材の数を比較した。結果、日本は9位となった。
トップ3を占めたのは、米国(1万2027人)、英国(2130人)、カナダ(1431人)。次いで、フランス(1034名)、ドイツ(902名)の順となった。人工知能分野の王者を目指すと公言し、近年、躍進がめざましいとされている中国は7位(413人)にとどまり、ライバル視している米国とは、人材の数でまだまだ大きく離されているという実態も明らかになった。
ランキングベスト15には、シンガポール、ブラジル、韓国などの国もランクイン。特にシンガポールは国家レベルでAI研究センターを設立するなど、関連産業の発展と人材育成に積極的な構えを見せており、その成果が表れ始めているという分析もある。一方、平昌五輪などをきっかけに、ロボットやAIなど次世代テクノロジーに注力するとしている韓国は、人材不足が否めないランキング結果となった。
なお、Element AIは、AI人材の定義を、「機械学習およびディープラーニングの技術的能力を保有しつつそれが証明されている」、「数年間の実務経験がある」、「学際的な環境で協力・成功することができる人材」などとしている。また、主に英語のデータソースを優先していることも付け加えている。
各国において調査が進めば、さらに詳細なAI人材数が明らかになり、ランキングも入れ替わってくるかもしれない。しかしながら、世界AI産業全体で考えたとき、その絶対数は圧倒的に不足しているという事実は揺るぎそうもない。一例としては、中国IT大手・テンセントの分析がある。同社は、世界に約30万人のAIエンジニアがいるが、実際の需要規模は約100万人だと指摘している。今後数年間で、各国のランキングがどう推移するか、またエンジニアの数がどう増加していくか注視したい。
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Photo by Elementai HP