ゴミはロボットにおまかせ!?リサイクルロボットが続々登場

ロボティア編集部2016年4月24日(日曜日)

 アップル社が公開したiPhoneリサイクル用ロボット「リアム(Liam)」(動画)に注目が集まっています。小さな部品を丁寧に分別してリサイクル、地球環境にも優しい。リアムを紹介する動画からは、そのようなニュアンスが伝わってきます。現在、リアムの他にも、リサイクルロボットの開発、またそれらを使用したビジネス、プロジェクトが増えているようです。

 まず、フィンランド企業ゼンロボティクス(ZenRobotics)は、リサイクルロボット・ゼンロボティクスリサイクラー(以下、ZRR)を開発しています。ZRRはセンサーや人工知能を駆使して、ゴミ箱の中から再利用できる廃棄物を自動的に選別します。完全に自動化されており、その動作は非常に俊敏。ひとつのアームで、1時間当たり2000のリサイクル部品を識別・分別作業することが可能だそうです。

ZenRobotics_ゼンロボティクス
photo by ZenRobotics

 ゼンロボティクスは、世界的な廃棄物の増加を解消するため、技術分野でイノベーションを起こすことを自社のミッションのひとつとしています。同社の説明によれば、ZRRは世界初の廃棄物選別ロボットシステムとのこと。また、コストや手作業の削減、リサイクル効率の向上に役立つように設計されていると言います。

フェニックスプログラム
photo by DARPA

 一方、米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)は、宇宙空間でリサイクル作業に従事するロボットを開発することに取り組んできました。通称「フェニックス・プログラム(Phoenix program)」です。不死鳥のように、何度も蘇らすというコンセプトでしょうか。(※DARPAのプロジェクトは、ネーミングがいちいちかっこいい気がします)。なお、古い衛星から部品を回収し、新たな宇宙システムを作るのに使用するというのが、フェニックス・プログラムのコンセプトとなります。

ERO_コンクリートリサイクリングロボット
photo by ERO

 また別のアプローチから廃棄物を減らすロボットを開発している人も。例えば、オメル・ハシオメルゴル(Ömer Haciomergolu、トルコ)氏は、コンクリートを高水圧ジェットで粉々に粉砕するロボット・EROを開発しています。同ロボットは、2013年度の International Design Excellence Award (IDEA)の学生部門で、金賞を受賞しています。

 EROの特徴としては、コンクリートのみをまるで“食べるよう”に撤去、鉄筋などフレームをきれいに残し、次の建設に役立てるとことができる点です。なお、古いコンクリートは再利用が可能だそうです。

 リアムのように、電子部品を解体・再利用するロボットを開発している大学もあります。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)の研究チームです。動画の最後に、少しだけ解体の様子が出てきますが、その全貌についての詳細は語られていません。ただ、古い液晶テレビなど、多くの電子機器を解体・再利用することを念頭に置いている様子。今後に期待したいです。

 日本は廃棄物焼却場の数が世界1位という状況。排出される廃棄物の量は、年間約5億トンと言われており他国と比べても多いそうです。産業廃棄物と家庭ゴミの概念の差など、細かい統計の区分けには注意が必要かもしれませんが、いずれにせよ、対国土比でみた時のゴミの量は、社会的課題のひとつになっているようです。「日本のロボット技術×リサイクル」という試みが生み出すであろう新たな価値にも注目したいですね。

liam photo by apple