なお2017年からは、ワトソンの韓国語サービスが開始される予定である。IBMと手を組むのは、通信、エネルギー、石油精製業を主な事業ポートフォリオとする財閥グループSKの関連企業「SK C&C」だ。
5月4日、SK C&Cは、米ニューヨークでIBMと人工知能に関する事業協力契約を締結。ワトソンの韓国事業権を獲得したと9日に明らかにしている。今後はSK C&Cが、韓国でワトソンプラットフォームを拡大する役割を担うことになる。SK C&Cはまた、韓国IBMとワトソンのシステム構築、韓国内のマーケティングを共同で進める予定である。
両社は来年の韓国語サービス開始に向け、自然言語の意味解析、機械学習をベースにしたデータ分析など、関連する機能の韓国語バージョンを今年中に開発する。また、IT技術を開発する人々がワトソンを利用しアプリケーションを開発できるように「ワトソンクラウドプラットフォーム」をSK板橋クラウドセンターに構築する。
例えば、商品検索にワトソンを導入し、商品使用目的、ユーザーの指向、商品説明などのデータを提供すれば、ユーザーに最適な商品を推薦できるようになる。米国ではすでに、ワトソンを利用した見習いロボットをヒルトングループのホテルに導入したり、ユーザーの傾向を分析、商品をすすめる機能をショッピングモールなどでテストしている。
SKとIBMは、人工知能産業を牽引、後押しするため、数億円規模のベンチャー創業支援ファンドを韓国国内に設置した。SK C&Cのパク・ジョンホ社長は「板橋クラウドセンターは、韓国内の人工知能産業生態系を作り上げるためのメッカになるだろう」とコメントを残している。
ワトソンの日本語版サービスは、2016年2月18日から提供が開始されている。