日本では昨年一年間の交通事故による死亡者数は3532人だった。一方、日本の約10倍の人口の中国では、昨年の交通事故による死亡者数が20万人を超えており、日本と比べて相対的に非常に大きな数値となっている。
こうしたなか、交通事故の撲滅を目指しAI技術を活用しようという動きが中国で見られている。10月24日、中国広東省では「第2回中国人工知能発展フォーラム」が開催され、各国から専門家が集まり、広東地区における人工知能を使った交通設備の可能性について議論が交わされた。
中国では2019年9月、「交通強国建設要綱」が中央政府から正式に発布され、2035年までに交通強国を目指すこととなった。この要綱では主に地下鉄などの公共交通機関が抱えてきたラッシュによる混雑、切符の購入、乗客へのセキュリティチェックなどの課題を人工知能によって解決しようという目標が掲げられている。
また交通強国建設要綱では、交通強国を目指す上で、人工知能による交通事故減少についても触れられている。中国国内でAIによる自動運転の研究開発を行っている北京小馬智行科技有限公司(PonyAI)のCEO・張寧則氏は、「交通事故の約90%は人為的ミスに起因している。今後中国の交通領域には人工知能による大きな変革がやってきて、安全性能やエネルギー効率が改善され、人間の生活をさらに向上させるだろう」と話している。
2016年に創業された北京小馬智行科技有限公司は、中国国内で初めてとなる人工知能による自動運転タクシーの実験を行っている。今年8月にはTOYOTAとの技術提携を発表し、現在同社とともに自動運転の実証実験を行っている。
Photo by pony.ai HP