2017年12月2日、深セン市福田保税区にて試運転を行ってきた無人運転バスがついに正式に運営開始となった。
中国初の公道における無人運転の正式運営となり、公道での実用例としては初めてとなる。これでまた深センが未来都市として一歩進んだことになる。
深セン市は初めに1路線で2台の無人運転バスの導入を走らせると発表しており、バス停は3つで全長1.2キロになる。実用開始してから問題がなければ路線バスはどんどん増えていくだろう。もちろんスマホでの乗車も可能である。
この無人運転はハンドルが自動で動くもので、7種類の車載センサーや16個のレーダー、GPSなどが装備され、AI、自動コントロール、視覚認識計算等の技術が使われている。これらの技術で車の周りの状況を把握し、周囲0.5m~90mの道路状況を把握する。車両の位置や障害物などの情報を得ながら、車両の方向や速度をコントロールして走る。時速は速度制限20km/hのところでは10km/hで走行し、制限30km/hのところでは20km/hで走行するという。
なお、減速、緊急停止、障害物を避けての走行、右左折、バス停への停車、システムの安全制や安定生など政府からの要求は全てクリアしていて、既に福田保税区で4ヶ月間、累計走行5000キロに及ぶテスト走行が完了している。
このバスは『Alphabus』と呼ばれ、国家智能交通システム研究開発センターと深センバスグループが共同で開発を進めてきた。この開発には海梁科技、深センバスグループ、深セン市福田区政府、安凱客車(JAC)、東風自動車(DFAC)、速腾聚创(RoboSense)、中興通信(ZTE)、南方科技大学、北京理工大学がチームとなって作り上げた自動運転バスである。この中で自動車メーカーである安凱客車(JAC)、東風自動車(DFAC)以外は全て深セン企業であり、バスの車体、システム含めて100%国産車である。
筆者は以前にBYD社に訪問した際に、開発技術者から中国では自動運転開発の項目を落としていると聞いていた。BYDだけではなく、ベンツなど海外の車メーカーも中国では自動運転開発は落としているという。中国に住んでいると分かるが、人は赤信号でも渡るし、電気自転車が交通法規を無視してものすごいスピードで走っている。車の運転も車線変更は多い上に譲り合いという意識は低いので、直線道路でも追突ではなく側面の接触事故が多発している現状があるくらいだ。この交通状況を感知して走る自動運転はどんなにセンサーの技術が上がっても難しいというが技術者の見解である。
反対に百度やテンセントなどはAI開発に力を入れており、自動運転システムの開発を行っている。ハードの開発側とソフトの開発側での考え方が違うということになるが、その中でも一部地域で自動運転を入れていく試みがスタートしている。
恐らく私用車での自動運転は難しいが決まった路線で交通量の多くないエリアなどで、『Alphabus』のような自動運転交通が取り入れていくだろう。
どちらにしても、問題はまだたくさんあると思うが、とにかく試験運転を初めて実用化まで進めて、もし問題が起きればそれに対処するといった、深センならではのスピード感で進んでいることは事実である。
【取材・執筆:佐々木英之】
■原文:深センで無人運転公共バスが登場!
■参照:深セン経済情報