ゴミが自動で圧縮される「スマートゴミ箱」が普及…日本でも?

ロボティア編集部2016年7月21日(木曜日)

 エネルギー源の大部分を輸入に依存している韓国は近年、環境汚染と地球温暖化によって雨不足が頻発し、水資源をはじめとしたエネルギー不足が社会問題となっている。これを受けて韓国政府は、エネルギー自給率の向上策として、ゴミを再生可能エネルギーに転換することを目標に掲げ、さまざまな活動を展開している。

 そんな社会的背景のなか、太陽光エネルギーを利用して、あふれるごみを自動的に圧縮するスマートゴミ箱「クリーンキューブ」が注目を集めている。これは韓国スタートアップ「イーキューブラボ」(E-Cube Labs)が開発した商品。太陽光エネルギーで稼働するモーターが、なかに入ったごみを圧縮してくれるというものだ。

 クリーンキューブには、従来のゴミ箱容量の6~8倍のごみが入る。 イーキューブラボではここに、IoTセンサーを取り付け、ゴミの容量、回収時点、経路を知らせるなど、総合ソリューションを提供している。

 同社を運営するクォン・スンボム代表は、2011年に大学の友人たちとご飯を食べる中で、あふれるゴミ箱を見て、このような事業を思いついたという。ゴミ箱が一度あふれると、人々は平気でゴミ箱の周辺にまでゴミを投げ捨てる。 その点に着目し、「あふれないゴミ箱」作りを始めた。こうして作られたゴミ箱が、クリーンキューブとなった。

 クリーンキューブは太陽光でバッテリーを充電し、ゴミがいっぱいになると圧縮機が作動。ゴミを圧縮する。 また、ゴミがどれほど入っているかセンサーを通じて管理者に教えてくれる。加えて、収集車から出る排気ガスや人件費もカットできるようで、コスト削減も期待されている。

 全世界的に、ゴミ回収だけで年間約9兆円の費用がかかると言われている。 このうち1%のコストを削減するだけでも、約6500億円の節約となる。

 このスマートゴミ箱は韓国だけで200個、世界的には2000個ほど設置を控えている。韓国では昨年に「公認調達優秀製品」(政府が性能などを評価し、推奨する製品)として登録され、世界20カ国に進出している。

スマートゴミ箱_BigBelly Solar
BigBelly Solar photo by downtownoakland.org

 海外ではコロンビア、イギリス、オランダ、オーストラリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など20ヵ国で、現地営業のパートナーとともに事業を進めており、 今年3月にアメリカに法人を設け、ナスダック市場での上場を目標にしている。

 アメリカではすでに「スマートゴミ箱」が普及しつつある。ビッグベリー・ソーラー(BigBelly Solar)というものだ。すでにニューヨーク市のタイムズスクエアや、ボストン市において、導入が始まっている。

 イーキューブラボの売上は2013年に1000万ウォン(約100万円)、2014年に3000万ウォン(約300万円)だったが、2015年には8億ウォン(約8000万円)と伸びており、今年はすでに、受注額と合わせると70億ウォン(約7億円)になると予想されている。

 クォン代表は「これまでごみ収集は非効率だった。例えば、ごみ収集車が歩き回ることを除いては、100年前も今もごみ収集方式が同じだ。今後は一般ゴミだけでなく、商業廃棄物や産業廃棄物などでも効率を高めることができるソリューションを作り出すことも視野に入れている。最近はIoTと環境に対する関心が高まり、急速に普及しているため、自信を持って米国市場でライバル会社に競争と挑戦をしてみようと思う」とコメントしている。

 なお、日本でもスマートシティ実現に向けた取り組みの一環として、東海大学や長崎県のハウステンボスに「ビッグベリー・ソーラー(BigBellySolar)」が設置され、実証実験が行われている。