世界の例にもれず、中国でも各分野でロボットの導入が着実に前進。警備用ロボット、大学入試に挑戦する人工知能、ロボット記者などが登場し話題となっている。
4月、重慶で行われたハイテク技術成果交易会では、「アンボット(AnBot)」と呼ばれる警備&サービスロボットがお披露目された。タイヤで移動するアンボットは、爆発物をはじめ、麻薬や武器を探索できるセンサーを備えている。運行速度は最大時速18kmで、8時間連続で巡回が可能だそうだ。
開発者であるシャオ・シャンチャン(肖湘江)氏は「軍隊、空港、博物館でそれぞれ試運転した結果、顧客側から大好評をいただいた」と伝えている。アンボットを見た中国公安部の関係者は「大変興味深い(中略)現段階で警備用ロボットの市場規模は計り知れない。把握しているだけでも、100億元(約1680億円)規模は越えていくだろう」と話している。
一方、四川省・成都の企業「准星云學」が開発した人口知能搭載型ロボット「カオカオロボット」は、来年にも中国の大学受験「高考」に挑戦する見通しだ。同社の林輝CEOは「(大学受験で)中国の人口知能の水準を、世界に知らしめることができるだろう」と自信を見せている。また、今回開発されたロボットは問題に回答する一方で、採点も可能。2020年までに、北京大学と清華大学に合格させることを目標にしているという。
中国メディア業界もまた、ロボットによって変化を遂げつつある。
最近、国家ロボット発展フォーラムで発表された報告書は、人口知能や仮想現実(VR)などの新技術により、近い未来、ロボットによる記事の作成が一般的になっていくだろうと予想している。ロボット記者によって書かれた記事は読みやすく、正確なデータが揃っている。そして何より圧倒的なのは、原稿を仕上げる早さだ。
ただ、ロボット記者も万能ではない。オールジャンルの記事を書けるかといえばそうではなない。現状、過去の資料が豊富な経済、スポーツの分野と、スピードがモノをいう速報系記事を中心に導入されていく見通しだ。
中国政府は囲碁世界王者イ・セドル氏と、グーグル・ディープマインド(Google Deep Mind)が開発した人口知能アルファゴ(alphaGO)との対局をきっかけに、人口知能分野の投資を強化している。