スウェーデン人がAI・ロボット化社会を恐れない理由

ロボティア編集部
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photo by boliden.com

ロボットや自動化システムの導入が進み、世界中で失業への懸念が高まっている。しかし、先端的な福祉国家であるスウェーデンでは、ロボットや自動化に対する反感が低いという。むしろ革新が促され、スウェーデン産業界の国際競争力が高まり、労働者にもメリットが生まれるという認識が高い。

例えばニューヨーク・タイムズは、スウェーデンのニューボリバルデン(New Boliden)地下鉱山で働いている35歳のMika Persson氏のエピソードを伝えている。Persson氏は、4つのコンピュータスクリーンを通じて、複数台の鉱物移送ローダー(loader)をジョイスティックで遠隔操作する。そのため、ひどいほこりにまみれる心配がないという。同鉱山ではロボットだけでなく、自律走行車もテスト中だ。背景には、人間のトラック運転手を機械に置き換えたい意図がある。しかし、Persson氏は「雇用喪失を全く気にしない。(中略)現在やっている仕事がなくなっても、鉱山にやることが多い(中略)会社が私たちを保護してくれるだろう」と話している。

北米や欧州では、企業の賃金上昇の問題をロボットの導入で解決しようという動きが広がっており、並行して労働者の雇用喪失が懸念されているが、スウェーデンでは少し事情が異なるという。

というのも、スウェーデンや北欧諸国は、経営者と従業員間の信頼が深いうえ、強力な労働組合、政府の豊富な失業者支援政策などあるので、ロボットの導入と失業の恐れが非常に低いレベルにあるという。さらに一歩進んで、ロボット導入により効率性が高まり企業が成長すれば、その成果を労働者と分かち合うこともできるという意識が強いというのである。

スウェーデン雇用統合部長官Ylva Johansson氏は、スウェーデンの労働組合幹部にとって新技術は怖いものかというというメディアの質問に対し、「全くそうではない。むしろ古い技術が怖い」と答えているという。加えて、「仕事がなくなれば、労働者のために、新しい仕事を得るための訓練を実施する。私たちは仕事ではなく、労働者を保護する」と強調している。