米・経済紙ウォールストリート・ジャーナルが、ロボットの発展による人間の仕事の喪失規模について言及した。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8月25日、人間とロボットが職場でともに働く時代を経て、ロボットが人の仕事を奪う時代に進むだろうとした上で、人間の雇用が失われる規模について指摘した。
2013年の英オックスフォード大学の研究では、今後数十年の間に、人間を雇用していた職場のうち、47%程度が自動化に伴うロボットに取って代わられるだろう推算している。技術および科学の発達が経済活動に及ぼす影響を分析する米国のフォレスター研究所も、オックスフォード大学の研究結果ほどではないが、少なからぬ仕事が人々の手から離れると見込んでいる。
同研究所は、2025年には、米国で自動化によって2270万人の雇用が消えるだろうという見通しを指摘している。ただし、同期間に新しく創出される雇用を考慮すると、実際にロボットに取って代われる雇用数は910万人と推定しているそうだ。2015年現在、自動化およびロボットが占める雇用は、全体の仕事の16%の水準に達しているという。
オックスフォード大学の研究より前向きな見通しを発表しているフォレスター研究所だが、彼らですら人々が体感する雇用の減少は、様々な分野に広がるだろうと予想している。しかし、これらの自動化またはロボットの登場により、新たに創出される雇用もある。代表的な分野では、ロボットを対象とした修理・点検分野を挙げることができる。フォレスター研究所は、自動化やロボットの導入で雇用が10件ほど消えるごとに、人間には1件の新たな雇用が登場するだろうと分析している。
なお、米・ピースカールタイムズは「ロボットに奪われない代表的な職業10選」で葬儀指導員や(高齢者や児童を相手にした)デイケアワーカーなどを選んだ。理由として「人間的な共感が重要な職場」であり、「それらの職種の現場では、ロボットと対面させられることは不快であるから」とした。オックスフォード大の研究でも、人間であることが不可欠な専門セラピストや療法士、精神的な健康に従事する職業がロボット代替確率の低い職業としている。
オックスフォード大学が選ぶロボットに代替される可能性が低い職業
1位 専門セラピスト
2位 精神健康担当社会福祉士
3位 歯科専門医
4位 内科専門医
5位 栄養士
オックスフォード大学が選ぶロボットに代替される可能性が高い職業
1位 電話販売員
2位 税務代理人
3位 時計職人
4位 金融会社の貸出担当者
5位 銀行の入出金職員
(ロボティア編集部)