英ロボットメーカー・スモールロボットカンパニー(Small Robot Company)が、農作物の合間にある雑草をマップ化し除去する3種類の自律走行ロボット「ファームボット」を開発しているという。それぞれの機体の名称は「トム」「ディック」「ハリー」である。
まずトムは、化学物質を使用せずに幅広いエリアの雑草除去を行う。雑草マッピング技術を使用することで、収穫に被害を与える雑草を特定・除去することができる。スモールロボットの共同設立者であるサム・ワトソン・ジョーンズ氏は、小麦の収穫に被害を与える「ブラックグラス」(雑草)に化学物質に対する耐性がつき、ますます問題になっていると指摘。加えて、農家の手作業ではそれら雑草を見逃すことが少なくないと説明している。
開発されたロボットは人工知能を搭載しており、雑草を分類して有益な種は除去しない。いくつかの雑草は有益な昆虫に食料源となり土壌の健康に肯定的な影響を与えるからだ。
「ディック」は、電子雑草除去会社・ルートウェーブと協力して開発された非化学除草ロボットだ。こちらもマッピングデータを使用して雑草を見つけ、最大0.5㎜の精度で1秒ごとに衝撃波を発射して雑草を除去する。「ハリー」は2022年に発売される予定で、作物の自律栽培を担う。土壌浸食を防止し、栽培によって発生した排気ガスを最大90%まで削減できるというのがスモールロボット側の説明だ。
スモールロボット社は他の技術も開発し、ロボットに採用することを目指している。ジョーンズ氏は、小麦の栽培は始まりに過ぎず、他の農作物を管理する機能を開発するために他社との協力も積極的に進めていきたいと話している。
報道によれば、スモールロボットはR&D資金として210万ポンドを誘致。英国の農家から追加で50万ポンドを投資されている。今年10月には、みっつの農場で実際に開発したロボットを稼働させる準備を終えた状態だという。一日に処理できる作業範囲は20ヘクタールほどが見込まれている。
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