大規模な製造業の工場など限定的な環境で稼働している産業用ロボットと比較して、より広範囲な領域で活用が期待されているのが、サービスロボットと呼ばれる製品群だ。一例では、家庭用ロボットや警備用ロボットがあるが、考え方によってはドローンもサービスロボットのカテゴリーに含まれるかもしれない。
世界各国では、今後数年間でさらに多くのサービス用ロボットが登場するとされている。いずれ産業用ロボットの市場規模を超えのではないかとの、専門家たちの予測もある。とはいえ、業界関係者によれば「唯一、ビジネスとして成立しているのは、ルンバをはじめとする掃除用ロボットくらい」だそうで、大きな成功を収めた実例はまだまだそれほど多くはない。
そんな、期待と困難が交差するサービスロボットの分野で、昨今、世界各地から企業の導入例が相次いで報告されている製品がある。倉庫用ロボットだ。
中国企業「STO Express(申通快递)」が運営する杭州市の工場では、複数台の倉庫用ロボット「リトル・オレンジ(Little Orange)」が稼働している。リトル・オレンジが、STO Expressの同工場内で運搬することが可能な荷物の数は、一日20万個におよぶと言われている。
工場内ではまず、人間の従業員が待機しているリトル・オレンジに荷物を載せる。その後、ロボットはバーコードを読み取り、届け先を照会。定められた位置まで移動して、荷物を仕分ける。リトル・オレンジは、自動的=自律的に工場内を移動する。ペイロード(最大積載量)は8kgで、周囲のロボットや工場内にある溝を上手く避けながら指定された場所まで荷物を運ぶことができる。
リトル・オレンジによる仕分けには、コンピュータを通じた管理が行われているので、人為的なミスが起こりにくいというメリットもあるのだそうだ。なお、リトル・オレンジの動力源は電気だ。バッテリーが消耗すると、自動的に充電ステーションに戻る。充電が完了したロボットは、再度、荷物の運搬に投入される。
リトル・オレンジは、中国のセキュリティロボット企業「ハイクビジョン(Hikvision)」が開発した製品だ。同企業は、リトル・オレンジの他にも、さまざまなサービスロボットを開発中だと言う。
日本では今年、インテリア小売業大手「ニトリ」が、倉庫用ロボットのテスト運用を発表している。今後、日本の物流現場でもロボットの導入や自動化が進むのだろうか。注目したいイシューだ。
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