中国で人工知能とロボットを利用した奇抜な詐欺・違法行為が相次いで発生。社会問題化していると香港メディアが報じた。
まず、中国公安警察は最近、スマートフォンデートアプリを運営する企業を大々的に取り締まった。そのなかで目立ったのは、摘発された多くの企業がAIを利用してデートアプリを操作していたというものである。つまり、お金を使ってアプリを利用していた顧客は、異性と会話しているつもりだったが、その会話に応じていたのは実はAIだったという顛末だ。それら“AIデートアプリ詐欺”によって、数十万人規模の顧客が被害者となり、被害額は10億元(約170億円)に達したという。中国公安側は、デートアプリ運営関係者600人以上を逮捕している。
また中国南部では、自力でロボットアームを製作し、列車のチケットサイトで休まず購入(ボタンを押させ続ける)させ続けた男性が問題となっている。男性はロボットを使って需要が高い列車の切符150枚を購入。それをインターネットで販売し3000元(約5万円)の利益を得ていた。そのような行為は中国では違法となっているが、男性はロボットアームを作るために数ヶ月の時間と数千元のお金がかかったと反論している。
一方、上記のような違法行為ではないものの、多くの企業がロボットおよび自動化に投資する動きに対して、懸念の声も増えてきている。
中国北部にあるとある無人工場では、ロボットを使って24時間体制で餃子をつくるシステムを稼働している。中国最大の宅配業者・申通のスマート倉庫では、倉庫ロボット「小黃人」が、1日20万件の宅配物の集荷や仕分けを処理している。中国の軍需工場においても、ロボットで武器を製造するケースが増えており、中国の河北省の裁判所は庁舎内に案内ロボットを設置した。中国陝西省・西安市の病院では、ロボットが女性患者に対するインプラント施術に成功。AIロボット・シャオイ(小醫)は、昨年8月に医師資格試験に合格している。
一方、東シナ海に沈没したタンカー・サンチ(Sanchi)号の油流出防止にロボットが採用されたケースや、200以上の幼稚園でロボットを利用した子供たちの教育支援行われている現状など、ポジティブな事例も多いと中華系各メディアは報じている。加えて、2017年にとある男性が自作したロボットと結婚した話題を取り上げ、AIとロボットが中国人の生活に定着しつつあると分析している。
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