米セントルイスのダウンタウンにあるスーパーマーケット「シュナックス(Schnucks)」では、ロボット社員 「タリー(Tally)」が稼働中だ。
7月31日に店頭に導入されたタリーは、店舗内を1日3回にわたり巡回。飲み物、おむつなどの在庫をチェックして、データを収集する。タリーが行っているその在庫チェック作業は、これまでは店舗従業員の業務だった。
シュナックスがタリーを“雇用”した理由は、単純な業務をロボットに置き換え運用コストを削減するため。そして店舗従業員を接客に集中させるためだった。現在、テストサービスが行われているが、今後はその結果を見ながら100店舗ほどある系列店全店舗にタリーを導入していく計画だという。
米国内でロボットの導入を思案している小売業者は、シュナックスだけではない。ニューヨーク市民御用達の巨大スーパー「ターゲット(Target)」も、すでに昨年からロボットの導入テストを行っている。ロボット導入にはこれまで何かと否定的な意見も少なくなかったそうだが、今年に入って一気に雰囲気が変わったそうだ。現在、店内へのロボットを導入、会社内部での人工知能(AI)活用など、効率を最大化するための企業努力が進められているという。
これまで小売店ではバーコードやITシステム、無人精算機などさまざまなテクノロジーが導入されてきた。その流れの最先端として「ロボット・AI導入」が着実に進もうとしている。
流通市場調査専門機関「ボストンリテール・パートナーズ(Boston Retail Partners)」が、米国内の500社の販売店を対象に調査を行った結果、87%がAIの導入に「肯定的」と答えたそうだ。また調査対象企業の45%が「3年以内に消費者と直接対面する場面でもAIを導入する」としており、30%は「導入を急がねばならない」と答えたという。
現在、リアル店舗を構えるオフライン小売店は、アマゾンをはじめとする「オンライン店舗」にその地位を脅かされ始めて久しい。AIやロボットの活用が、オフライン小売店の勢いを復活させる切り札となるか注目したい。
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