米国で「鉱山調査ロボット」開発進む...汚水流出を防げるか

ロボティア編集部2018年2月8日(木曜日)

米コロラド鉱山学校が、鉱山の汚染物流出を防止するロボットを開発。数年以内に現場に投入する予定だ。同ロボットは、崩壊した鉱山敷地内のトンネルを通過しながら、地下水の汚染物質を分析する。そして数百〜数千メートルにおよぶ鉱山に立ち入り、有毒な重金属が含まれている地下水のデータを収集することを最終的な目的とする。

人間ができない特殊なタスクをロボットが処理するということで、同プロジェクトに対して米国環境保護局(EPA)なども大きな期待を寄せているという。

なお、鉱山ロボットの開発が進む背景には、2015年にコロラド州ゴールドキング鉱山で発生した廃水流出事件など悲惨な過去がある。当時、鉱山の浄化作業を進めていたEPA職員が、誤って1000リットル以上の廃水を流出させてしまった。そのため、高濃度なヒ素や水銀など有害物質が、アニメマス川に沿って160km範囲にまで拡散。被害はニューメキシコ州とユタ州まで及んだ。当時、周囲の河川はからし色に染まったそうで、ナバホ族が利用していた飲料水も危機に瀕したと言われている。

コロラド鉱山学校のハオ・チャン(Hao Zang)教授は「自律ロボットや長距離無線信号を受信できる機械が、水の中にある汚染物質や鉱山全体の画像を詳細に分析できれば、意図しない流出を防止することができる」と指摘。鉱山でロボットを使うメリットとして「安価」「高速」「安全」の3側面を強調している。それでも、鉱山ロボットの現場投入にはもう少し時間がかかる見通しで、チャン教授自身も「実用化には3〜4年かかる」と見通しを語っている。

一方、EPAは地下や地下水の流れの深さ、圧力、および方向を測定しつつ、地表から鉱山を掘削して水中に装置を投入する方法も検討している。ある程度研究が完了すれば、石灰中和、もしくは廃水浄化のための微生物の導入など、他の技術も併せて使用することを検討しているとしている。

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