カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)出身者が創業したスタートアップ・JITXが、複雑な電子回路基板の設計を自動化する人工知能技術を開発した。時間がかかる電子回路の設計作業を、数時間以内に終えることができるという。
JITXのCEO・Duncan haldane氏は、もともとUCバークレー「Salto-1P」というジャンピングロボットの開発に携わっていたが、ハードウェア研究中、回路設計作業の多くが繰り返し行われているという点に気付いた。言い換えれば、ハードウェア設計の多くの部分が、重要かつ核心的な作業よりも、低いレベルの設計作業に時間やコストを割きざるをえない状況を問題視するようになった。haldane氏は、新しい方法、創造的な方法で作業する際に、ハードウェア設計が大きな障害となっていると実体験を踏まえて指摘している。
JITXの目的は、ハードウェア開発をソフトウェア開発のように変えることだ。これまでいくつかの企業がさまざまな方法で回路設計を支援してきたが、JITXは人工知能ベースのアプローチを採用しようとしている。
JITXが公表した資料によると、80年代に導入された「HDL(Hardware Description Language)」は、エンジニアが回路を設計する方法に革新をもたらした。回路の形を描く代わりに、コードを使用して、回路の意図された行為を表現すると、自動的にコードを銅線の形に変換してくれる。このようなワークフローを使用することで、数十億個のトランジスタで構成されたチップを設計するのが可能となった。
JITXは同じワークフローをPCB設計に適用するという目標を掲げている。回路基板の設計は、電気工学、機械工学、マニュファクチャリングなど、様々な技術分野の専門知識を必要とする。しかしながら、多くの企業が回路設計をこなす専門技術者を採用するのに苦労しているのが実情だ。JITXは、自分たちが開発した方法を使えば、従来よりも約3倍も速い速度、かつ25%減の低コストで回路基板を設計することができるとしている。
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Photo by jitx.com