フィンランドとオランダの企業が協力し、音だけでモーターやパイプなど、インフラ設備や機械の問題を探ることができる人工知能(AI)システムを開発しているという。
ヘルシンキに拠点を構えるNoiseless Acousticsと、アムステルダムに拠点を構えるOneWattは、音のパターンだけで機械の問題を把握できるAIシステム「EARS(Embedded Acoustic Recognition Sensors)」を開発中だとしている。同システムには、非侵襲性センサー、マシンラーニングアルゴリズム、予測メンテナンスソリューションなどが採用されており、人の耳に聞こえない小さな音も可視化してくれる。
OneWattはシステムの仕組みについて、周波数を分析しマシンラーニングでエラーを検出・予測するものだとしている。特筆すべきは、問題の種類だけでなく「問題がいつ発生するか」まで予測できることだ。
OneWatt のCTOであるPaolo Samontanez氏は、「音は機械の故障を知らせる明白な信号。可視光線はモーターを通過することができないため、ベアリングが劣化したのかどうかを知ることができない」と説明している。
一方、Noiseless Acousticsは、ハードウェア、ソフトウェア、および分析技術を統合して音を測定する。NLカメラを使用して、熱画像処理と同様の方法で音を測定しスクリーンに表示する仕組みだ。同方法を使用すると、機械の問題がある箇所を正確に見つけることができるという。問題が見つかった際、コンパクト無線センサーハブとその中にあるセンサーが信号を送信し、クラウド側ではデータが分析・処理される。
Noiseless AcousticsのCEOであるKai Saksela氏は、「音は独自の方法で物事を描写する」と説明。同システムは今後、ガスポンプ、電力網、工場など点検や検査に使用されていく予定だ。
Photo by Noiseless Acoustics(via YouTube)