英国科学協会の次期会長「AIはテロリズムや気候変動より大きな脅威」と警告

ロボティア編集部2018年9月13日(木曜日)

人工知能はテロリズムや気候変動などよりも大きな脅威となるでしょう――。

人工知能(AI)の活用が急拡大するなか、英国科学協会(BSA)の次期会長Jim Al-Khalili氏がそう指摘した。BSAの年次会合である「British Science Festival 2018」(BSF)を控え、ロンドンで行われたブリーフィングの際に発言された。AIの発展があまりにも早く、十分に制御されていないというのがAl-Khalili氏の警告だ。

今回のBSFから会長に就任するAl-Khalili氏は、「2年前、議論しなければならない未来の最も緊急かつ重要な問題は何か問われれば、気候変動やテロ、抗生剤への耐性、世界の貧困、感染症のうちいずれかだと答えただろう(中略)しかし、現在は『AIの未来』だと確信する。良くも悪くも、この問題はすべての問題を覆うことになるだろう」とする。

また、2016年に米大統領選挙にロシアのハッカーが関与したという話が事実ならば、彼らが電力供給網や輸送システム、軍事施設などを管理するAIをハッキングすることをどう止めればいいのかと疑問を呈す。またAIが、非熟練職を中心に失業を生み出し、経済的不平等を深化するというシナリオもまったくあり得ない話ではないとする。

Al-Khalili氏はAIが牽制なく急速に発展していくことについて、多くの人がだんだんと不便だと感じだろうとしながら、政府と産業界、学界が共同で努力を払わなければとする。そして急速に進展する技術は、やがて制御も規制されない少数の「超強力企業」の手に落ちるだろうと警告する。加えて、彼は2030年までにAI技術が世界経済に15兆ドルの寄与をすると予想。ただ、伝子操作技術のように人々がこれを恐れ有害であると認識すれば逆風を受ける可能性もあるとする。

英国には世界的なAI企業が多い。アルファ碁を生んだディープマインドが代表的だ。研究・開発・ビジネスの土壌は豊かだとされている。そんな英国から発せられた「AIへの警告」だけに、注視する必要がありそうだ。

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