自撮り写真(セルフィー)をよく撮影する人は、本人の魅力を過大評価する傾向があるという研究結果が出ました。トロント大学(University of Toronto)の研究チームが、自撮り写真を撮影する人々の自己評価を収集・分析し、その調査結果を公表しました。
同大学の研究チームは、自撮写真を頻繁に撮影する100人を含む、198人の学生を対象に実験を行いました。方法としてはまず、各参加者にスマートフォンを持ってもらい、カメラを利用して自撮り写真および互いの写真を撮影するように促しました。その後、撮影者に自分の写真を友人や知人がどれだけ魅力的だと評価するか、自己採点してもらいました。
研究チームは一方で、写真を撮影に関わっていない他人にも見せて、写真に写った人物がどれくらい魅力的に見えるか、またどれくらい自己陶酔に陥っていると思うか感想を聞いて、それを点数にしてまとめました。
実験の結果、自撮り写真を好きな人々、また好きでない人々の両方が、客観的な評価よりも自分たちを「魅力的だ」と評価する傾向があったそうです。自分の表情やポーズのなかでも自信のある姿を撮影したので、ある意味、当然の結果かもしれません。ただ、自撮り写真を撮るのが好きな集団は、際立って自分たちを高く評価する傾向にあったそうです。また、彼らは他人が撮影した写真よりも「自撮り写真がより魅力的だ」と答える傾向が強かったともいいます。
「自撮り写真をよく撮る人は、自分を過度に、また肯定的に評価することが分かりました(中略)客観的に写真を見た人々は、実験に参加した対象の自撮り写真をあまり魅力的だとは評価しませんでした。これらの(自撮り写真を高く評価する人々の)偏った特徴は、自撮り写真をあまり撮らない人には認められませんでした」(トロント大学研究チーム関係者)
なお、トロント大学心理学科のダニエル・レ(Daniel Re)教授が牽引した今回の研究は、学術誌「社会科学と認知心理学」に掲載されているそうです。