身体の一部が不自由なアスリートが、ロボットの力を借りて繰り広げる競技大会・サイバスロン(Cybathlon)が開催された。サイバスロンとは、サイボーグ(cyborg)という単語と、競技を意味するラテン語・アスロン(athlon)の合成語だ。
オリンピックやパラリンピックが、トレーニングで身体そのものの限界を克服することに焦点を当てた大会とするならば、サイバスロンは「科学的に人間の肉体的限界を超えること」と言い換えることができそうだ。最先端のテクノロジーが、勝負の行方を左右する。
そのサイバスロンが10月8日、スイス・チューリッヒで開催された。ブレインマシンインタフェース(Brain Computer Interface)、電気自転車レース(Functional Electrical Stimulation)、ロボット義手(Powered Arm Prosthesis Race)、ロボット義足(Powered Leg Prosthesis Race)、パワー外骨格スーツ(Powered Exoskeleton Race)、機能性車いす(Powered Wheelchair Race)など、計6つの種目で競技が構成された。米国、ドイツ、日本、韓国など世界25カ国から、74チーム、総勢約300人が同大会に参加した。
会場となった体育館では、選手が脳波でアバターを操作したり、微細な筋肉と連動する車いすでレースを行ったりと、人間と科学が融合した競技が多数行われた。今後、人間の肉体がどのように発展するのか。その未来を垣間見せてくれるような大会となった。