外骨格ロボット+VR...下半身麻痺などのリハビリに新たな可能性

ロボティア編集部2016年8月13日(土曜日)

 外骨格ロボットとVRを駆使したリハビリが、下半身麻痺患者の機能回復に前例のない効果をもたらしているとの結果が報告された。

 ブレインマシンインターフェイス(Brain-Machine Interface)の世界的権威、米デューク大学のミゲル・ニコレリス(Miguel Nicolelis)教授は、「ブラジルの下半身麻痺患者8人が、1年間にわたり、外骨格ロボットとVRを利用してリハビリした結果、7人に足の感覚が戻ってきた。また数人は運動能力も回復した」と報告した。今回、治療を受けたすべての患者は、医学的にリハビリが不可能だされた患者だった。

 ニコレリス教授は「歩いたり、立ったりと、人が動作しようと考えると、一定の脳波が出る(中略)この脳波を読んで、ロボットの動きに変える」と研究の趣旨を説明しているのだが、研究チームはまず、患者に脳波を読む装置を頭に装着させ、歩く想像を繰り返すようにした。一方、患者が想像を膨らませている間、VR機器「オキュラスリフト(Oculus Rift)」で、実際に歩いているように周辺の風景を見せた。同時に、外骨格ロボットを思考で動かす練習も並行した。

 毎週2時間ずつ、1年間の訓練を進めた結果、8人中7人に足の感覚を戻ったという。いくつかの筋肉が再生し、膝を曲げる動作が可能となり、患者のひとりは松葉杖だけで歩くことができるようになったともいう。

 ニコレリス教授は「訓練を繰り返しながら、神経が刺激を受けて再接続したり、再生されたようだ(中略)期待を超える驚くべき結果」とコメントしている。関係者の間では、今回の成果が下半身麻痺、脳卒中患者のリハビリにとって、画期的な転換点になると期待されている。

 なお、今回の研究はブラジル政府の障害者支援事業「ウォーク-アゲインプロジェクト(Walk Again Project)」の一環として行われており、研究結果は国際学術誌「サイエンティフィックリポート」の最新号に掲載された。