VR遠隔操作で爆弾除去・医療行為を担う愛らしいロボット「タウルス」お目見え

ロボティア編集部2018年4月5日(木曜日)

VR装置に連動したロボットアームが、爆弾など危険物を処理したり、治療のために手術を行う――。そんなVRの近未来型ユースケースが、シリコンバレーの非営利団体によって研究されている。

同プロジェクトを進めるのは、SRIインターナショナル(以下、SRI)。これまで、アップルの「Siri」や、インテュイティブサージカルの外科手術ロボットシステム「ダ・ヴィンチ(da Vinci)」の主要技術を生み出してきたグループである。

SRIの「タウルス(Taurus)」と呼ばれる新しいロボットは、コンシューマー用VRヘッドセットおよびコントローラーを使用してリモートで操縦できる。タウルスのアームには、さまざまなツールを操作するためペンチ型のツールが取り付けられており、両腕の間にカメラが搭載されている。ユーザーは、VRヘッドセットを通じてロボットの“視点”を正確に把握可能で、VRコンテンツの内部には、患者のバイタルサイン(vital sign)などの情報が含まれたダッシュボードが備え付けられている。なお、ユーザーがタウルスを操作・制御する際には、ハンドコントローラーとフットペダルが使用される。重量は約15ポンド(6.8kg)。狭いスペースでも持ち運びと操作が可能なように設計された。

SRIの医療システム・リモートロボットの責任者トーマス・ロウ(Thomas P. Low)氏は、VR技術が一般的に認知されながら研究速度が速まっていると指摘。これまでSRIのロボット研究所は、ロボットをより簡単に使用するために独自のグラフィカルインターフェイスを開発する必要に迫られていたが、その人気(開発や製品改良の進み具合)のおかげでコンシューマー用VRヘッドセッドを使えば済むようになったと話す。

今後、「タウルスが人間の雇用を脅かすか」という質問に対しては、「すぐにはありえない」というのがロウ氏の立場だ。むしろ「フォース・マルチプライヤー」(force multiplier=力を増強させるもの)になると期待を寄せているという。

ロウ氏は、タウルスがあれば戦場の医療スタッフが都市部の病院の熟練した専門家の助けを借りて、遠隔相談・開腹手術など治療行為を行えると強調している。また同ロボットは、法医学的証拠を棄損することなく車両に取り付けられた爆弾を解除するため、すでに現場で使用されているという。

Photby SRI international