シンガポール・南洋理工大学(NTU)のChen I-Ming教授チームが、広いエリアを迅速に消毒できる半自律型の防疫ロボット「XDBOT」を開発したと発表した。研究チームは同ロボットを国内現場に投入し製品性能をテスト。協力企業と共同で商用化を目指す。
Chen教授は、NTUからスピンオフしたトランスフォーマロボティックス社のCEOを務める。XDBOTは、トランスフォーマロボティクスやNTUのもうひとつのスピンオフ企業・ハンドプラスロボティクス、マズロボティクスとのコラボレーションで開発されたという。
XDBOTはライダーセンサと高解像度カメラを備えており、30メートル以内の距離でノート型パソコンやタブレットを使い遠隔操作することで、汚染の可能性があるエリアを中心に消毒・滅菌作業を行うことができる。アンテナを追加で設置すれば、操作距離を50メートルまで拡大できる。8.5リットルの消毒液を貯蔵できるタンクを備えており、連続作業時間は4時間である。現状、バッテリーの充電には8時間かかるが、高速充電技術を導入することで機能向上を行う予定だ。
半自律制御ユニットと6軸ロボットアームを装着しているため、テーブルやベッドの下、ドアノブ、照明スイッチなど、人の手が届かない場所や特異な形状の対象も滅菌できる。圧力スプレー式のノズル(噴射口)ではなく、静電気ノズルを採用しているのも特徴だ。これは、電荷の作用を利用して消毒の効率性を高めるためだ。
研究チームはNTUキャンパスなど公共地域でXDBOTのテストを行ってきた。Chen教授は、ロボットを活用することで感染リスクなく消毒作業を進めることができ、人間が作業を担うより最大で4倍以上広いエリアを消毒することができるとする。また労働力不足や反復作業で困難に直面している防疫現場で作業効率を高めることができるはずだと説明している。
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