米マサチューセッツ工科大学(MIT)は8月31日、新型コロナウィルス感染が疑われる患者の生体情報を、ロボット犬が医療スタッフの代わりに測定できることを実証する研究結果が出たと発表した。ボストンダイナミクス製の四足歩行ロボット「スポット」(ロボット犬)による遠隔診断だ。実験ではスポットが、人間から2m離れた距離で体温、呼吸数、脈拍、血中酸素飽和度を測定することに成功した。医療スタッフはポータブルデバイスでロボットを操縦。ロボットに積載されたタブレットPCで患者と対話もできる。
ボストンの病院では3月から患者が急増。緊急治療室の外に感染者を識別する診療所を設置した。診療所の主要な業務は患者の生体情報を測定することだ。防護服を着ていても、業務にはリスクが付き物だった。
そこで研究者は、スポットに赤外線カメラ1台、白黒カメラ3台を装着。まず赤外線カメラで患者の皮膚の温度を測定することにした。コンピュータは情報を使用して体温を計算する。赤外線カメラは、患者のマスクが呼吸に応じて周囲温度が変わることを感知。呼吸数も把握する。
一方、白黒カメラには、それぞれ異なる波長の光を検出するフィルタを装着した。血液のヘモグロビン分子が酸素と結合すると色が変わる。カメラはこれを感知して、血中の酸素飽和度を調べる。研究者はこの情報で脈拍も計算することに成功した。
今後、研究チームは診療所でコロナ感染が疑われる患者の生体信号を分類するために、スポットを活用していく計画である。長期的には、医療スタッフと接触することで感染リスクがある入院患者の状態もチェックしていくという。
Photo by MIT