MIT対話型ロボットグループを率いるジュリー・シャア(Julie Shah)教授は、病院の業務をアシストするロボットを開発中だ。その支援内容は「看護師が行っている業務のうち、初歩的なこと」。具体的には、患者に必要な医師を紹介したり、診療室まで案内などの業務となる。シャア教授はさらに、ロボットに人工知能が追加されれば、人間の看護師を支援する能力を発揮できると主張する。
MITでは現在、妊婦の出産の手助けするロボットを開発している。例えば、出産や手術を待機している患者が多いと、患者が居住する部屋が増える。これを管理する看護師は、「リソースナース(Resource Nurse)」と呼ばれている。リソースナースが看護師や患者の部屋を間違って割り当てた場合、病院は混乱に陥いる。リソースナースは、非常に複雑な状況で、迅速に意思決定をしなければならないのだが、このタスクもロボットに任せられ可能性が出てきている。
MITの研究者は現在、ベス・イスラエル病院で同ロボットの実験を進めている。仏アルデバランロボティクス社のヒューマノイドロボット「ナオ(Nao)」に、リソースナースの業務を教え、10人の看護師、20人の患者、および20個の部屋を同時に管理しながら、仕事を調整していく役割を訓練させている。
人間の看護師と医師が、「ナオ」に現場を担当させるということは現実問題、かなり厳しいかもしれない。ただ、そのアドバイスを参考にしたり、重要な意思決定を下す際のデータ提供者として、人間のパートナーにすることは可能だ。
最近の研究結果によると、ナオが提案した看護師のスケジュール、そして患者を配置する予定表は、医師と看護師のうち90%が肯定的に評価しているとのデータもある。