水道管の漏水を探知する新型ロボット「Lighthouse」に注目集まる

ロボティア編集部2018年9月12日(水曜日)

10年前に中国から米国に移住し、MITを卒業したYou Wu氏は5年間の研究の末、水道管パイプの水漏れ箇所を発見するロボット「ライトハウス」(Lighthouse)の試作品を開発した。Wu氏は友人であるTyler Mantel氏とともに、テックスターが運営するアクセレレーターから支援を受け、「WatchTower Robotics」というスタートアップを設立している。

Wu氏は、幼少期の中国での体験が忘れられず、水漏れ検知ロボットの開発に乗り出したという。彼が中国に住んでいた頃、中国の公務員は水の節約を理由に毎週一日半の断水措置を講じていた。水不足という原体験がWu氏の研究のバックグラウンドということになる。

米国土木学会の推定によれば、米国では水道管からの漏水が毎年24万に達するとされている。これは、毎年2兆ガロン(約75.7兆リットル)の飲料水が途中で消えることを意味する。またWatchTower Roboticsは、世界的にきれいな水の20%が毎日失われていると説明する。

現在、水漏れを発見するいくつかの方法が開発されているが、そのほとんどの製品は、パイプの振動や圧力減少で発生する「音」を頼りにパイプの亀裂部位を探す方法を採用している。しかし、都市部では騒音で異常を知らせる音がかき消され、効率的な発見ができないという課題があった。

WatchTower Roboticsが開発したロボットは、音ではなく、亀裂部分の吸引力を測定して異常かどうかを判断する。ロボットは、消火栓や水道管の中で使用される。オペレーターは、ロボットを通じてつくられた水道管のマッピング情報を分析し、亀裂部位の大きさや漏れの可能性などを判断する。

WatchTower Roboticは、サウジアラビア、英国などで同ロボットを使ったテストを完了。現在、米マサチューセッツ州、オーストラリアで試験プロジェクトを進めている。Wu氏は、世界中のすべての都市に勤務する現場技術者にロボットを提供すること最終目標と話している。

Photo by WatchTower Robotics